インターナルコミュニケーション新時代 正解がない中で何を目指し、どう実現するか?
リモートワークの常態化で、インターナルコミュニケーションは広報の急務になっています。従業員が会社に期待する報酬も多様になる中で、行動変容につながる社内コミュニケーションの在り方とは。広報が取り組むべき打ち手を考えます。
『一体感』が崩れる、その前に!インターナル広報
2021年「働きがいのある会社ランキング*1」の大規模部門1位に選ばれたシスコシステムズ。コロナ禍やデジタル化、SDGsなど新たな価値観の登場など、市場が大きく変化する中で、従業員のエンゲージメントを落とさず、高め続けている同社にポイントを聞いた。
*1 Great Place to Work® Institute Japanが2005年から毎年実施。従業員向けアンケートと会社を対象としたアンケートをもとにスコアを算出し、ランキングを決定。
DATA | |
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創業年 | 1992年 |
広報体制 | 非公開 |
世界480拠点、約7万7000人の従業員を持つシスコシステムズは、グローバルで先駆的に従業員エンゲージメントの向上に取り組んできた。
日本では、2001年からいち早く在宅勤務を導入。2018年、2021年に「働きがいのある会社」1位にも選出されている。
毎年定点観測しているという「従業員エンゲージメント調査」では、「チーム風土」「成長の機会」「直属上司」「組織横断性」「報奨と表彰」「リーダーシップ風土」「戦略との結びつき」「会社への愛着」のいずれの項目においても、一度も低下したことはないという。
それはコロナ禍でも同様。むしろ、通常より大きく数値を伸ばした項目もあった。
その要因を同社 執行役員人事本部長 宮川愛氏は、「市場変化に対応するべく、常にトライ&エラーを繰り返し、経営層、人事部、広報部、経営企画部を中心に、全社を巻き込みつつ組織体制をつくっていきました。特にコロナ禍ではトップの定期的な発信を増やしています。また従業員がより同社の行動指針を自分ごと化し、行動に移していくための『Our Principlesプロジェクト』を実施。コロナによる大きな変化、そこで浮き彫りになった課題感などをもとに、トップダウン、ボトムアップ両軸の施策をさらに加速できたことで、階層組織ではなく、よりダイナミックなアジャイル組織へと近づけたと考えています」と説明する。
トップダウンとボトムアップを掛け合わせることで社内の上下の距離を近づけ、アジャイル組織に変革することで、スピード感ある決定が実現。それがひいては、生産性のアップへとつながっていく。
「社員に企業のパーパスを自分ごと化し動いてもらうよう働きかけ、その効果を最大化するためには...