もう駆け出しの新人ではなく、中堅として活躍しているはずの広子。しかし、いつになく足取り重く、セミナールームにやってきた。危機管理の際のIRを学んだ後の実践編で、うまくいかない事案が発生したようだ。
14時限目
株主様?クレーマー?どのようにして見極めるの?

IR担当に製品のクレーム
広子 ▶こんにちは。
大森 ▶あれっ、表情が暗いねえ。どうしたのかな?
広子 ▶悪質なクレーマーに当たってちょっと困ってます。株主でもあり、お客様でもある方なんですが、全然収まってくれなくて。根本の原因は、当社製品が気に入らないことなんですが、株主優待制度を見直せとエスカレートし、最終的にはお前では話にならない、上司を出せって。丁寧に対応したつもりだったんですけど。
大森 ▶IR担当に製品のクレームかい?
広子 ▶はい。もともとは、お客様相談室から、転送されてきた話だったんですが、株主優待券を利用して当社製品をご購入いただいた、ということもあって、IR担当が対応すべきだと。
大森 ▶なるほど、ありがちな話だね。それで、お客様相談室では一次対応していなかったのかい?
広子 ▶「株主だ」と名乗られ、詳細を聞かずにそのままIR担当へ転送したようです。それで、私が話を聞いていたんですが、基本的には製品に対するクレームだったのでお客様相談室に返そうと手間取っているうちに、だんだん興奮されてきたようで、「お前のところの株主優待はA社と比べてこんな点が至らない」と。
大森 ▶なるほど、二次的な被害拡大要素もあるねえ。
広子 ▶むうう、初期消火に失敗したってことは私にも分かってますよぉ。だって基本的にはお客様相談室の案件ですよ …
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