友人の会社で生じた問題を機に、IRにおける危機管理に関心が高まった広子。前回に引き続き、大森先生から会社に問題が生じた際のIRについて特別講義を受けている。火消対応期に続き、状況確定期、信頼回復期へと話が進む。
12時限目
危機発生後のIR対応

状況確定期は情報発信へ
大森 ▶さて、最初は被害状況の把握、被害拡散の防止に重点が置かれる危機対応作業だけど、徐々に全容が明らかになり、起こった事実の整理と業績への影響などが想定できるようになってくる。そうすると、IRの基本姿勢も、謝罪中心から、情報発信へと移行する段階になる。
広子 ▶なるほど。発信できる材料がそろってくるから積極的に発信できる、ってことですね。
大森 ▶まあ、慌てないで。
広子 ▶分かってますよ。起きた事象と数字だけでは「事実」とは言えないですもんね。価値のあるIR情報にするためにも、経営陣がどう位置付けてどう対処する方針なのかが重要ですよね。
大森 ▶そう、よく分かっているねえ。発生した「事実」の認定、影響額などの確定に加え、自社事業に関連する規制法令への対応などが加わり、すべては経営陣として判断して確定させるプロセスが必要となってくる。「状況確定期」と呼んでみたのは、そういう理由だ。
広子 ▶法務部や企画部とも連携すべきですね。各種規制法令への対応などと言われると、下手なことは言えないし。IRは受け身で動く感じですかね。
大森 ▶そうだね。そもそも事実をどう開示するか …
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