知人の企業で発生した不良品事件をきっかけに、会社に問題が生じた際のIRについて、考え始めた広子。自社の危機管理規程など一連の状況を確認した上で、IR勉強会とは別に特別講義を受けることになった。
11時限目
危機発生時のIR担当者(初期段階)
広子 ▶こんにちは。
大森 ▶こんにちは、今日は前回(参照記事)の続きってことでいいかな?
広子 ▶はい、お願いします。当社には、危機管理規程と、これに伴う危機発生経緯書、危機発生顛末書といったフォームがあったので持ってきました。
大森 ▶どれどれ……。平常時と危機発生時……役割分担と権限……情報の吸い上げルートと伝達内容……か。なるほどね。まあ普通によくある規程だと思うよ。
広子 ▶そうですか?でも実際に危機に遭遇したら、具体的にどうしたらいいのかという疑問はありますね。
大森 ▶自分で判断ができないものは上司に報告して相談するという通常のルールを適用していけばいいんだけど。まあ、強いて言うなら、危機を「特定の部署で発生し、業績への影響が限定的なもの」から「全社的な影響が生じ業績へ大きな影響を及ぼすもの」まで、レベル分けするのはいいんだけれど、その判断責任者が必ずしも明確になってないね。ということは、情報を最初に受けた人が適切な判断をしなければいけない。「軽微だろう」と間違うと、情報が円滑に吸い上げられず、結果的に意図しない隠ぺいを引き起こしてしまうという恐れもある。
広子 ▶やはり初動が重要と聞くから、しっかりとしたルールやマニュアルを用意してもらわないと。
大森 ▶そうだね。基本的な対応ポリシーも必要だね。危機が細かく想定できるならいいけど …