前回、危機発生後のIR対応について理解を深めた広子。今回は社内勉強会のテーマとして、コーポレートガバナンス・コードへの対応という新たな課題を見つけ、いつものようにセミナールームへ。
13時限目
コーポレート ガバナンス・コードとは

二つの規範の根底とは?
広子 ▶こんにちは。今日は「コーポレートガバナンス・コード」について、教えてください。
大森 ▶いつになく、ざっくりだねえ。何が知りたいんだい?
広子 ▶社長との勉強会で、次回はコーポレートガバナンス・コードについて話す予定でして……。もちろん、当社も上場企業として、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」を新しい基準に合わせて開示することが、最終的な目標になりますけど。
大森 ▶なるほど。そういうことならば、日本取引所グループのホームページから「コーポレート・ガバナンスに関する報告書 記載要領」を探してみればいいんじゃないかな?
広子 ▶それはそうなんですけど……。なんか、今日は冷たいですね。
大森 ▶広子さんの態度は、そのまま、上場企業vs取引所などの市場規制機関との戦いの歴史を見ているようで。
広子 ▶えっ! なんですか、それは?
大森 ▶いや、ごめんごめん。これまでも不祥事などをきっかけに、コーポレート・ガバナンスの強化や開示の充実というテーマで、いろいろな改革が行われて法律まで改正されてきたんだけど、いつも形だけ整えて骨抜きというか、意味の薄い開示が現れがちなものでね。
例えば、有価証券報告書では「リスク情報」ですら、同じような項目が並ぶし、「コーポレート・ガバナンス情報」「経営者による財務・経営成績の分析(MD&A)」に至っては、企業名を見ないと、事業内容どころか、業種すら分からない記載が多いよね。
MD&Aは、確定情報だけでなく、経営者自らが分析し、現時点で想定できる内容とその不確実性を開示して投資者の判断材料を提供する、という画期的な開示内容だったはず。しかも、「具体的に、かつ、分かりやすく記載すること」とされていたのに。
広子 ▶「どんぐりの背比べ」になっちゃったということですか? ...