地域を活性化させるプロジェクトに携わる筆者が、リレー形式で登場する本シリーズ。今回は、石川県の市役所職員という立場で限界集落を活性化させた高野誠鮮さんが羽咋市活性化の事例から、メディア戦略で考えるべきポイントを紹介します。
「お酒が飲める女子大生」は住民を動かしつつ、報道する価値を生み出した。
取材したくなる書き方を
目と耳から入った情報によって知り、心動かされ、そして行動となって現れる。これが人間の行動原理です。ならば、情報を伝えるために最も効果的なやり方は何でしょうか。それは、無料でメディアに掲載され、世の中の人に広く周知してもらうこと。広告予算を持っていないならばこれ以外の方法は考えられません。
では、メディアに露出するためにはどうしたらいいのでしょうか。それには、報道する側の人間、記者、ライターなどの心理構造を知るべきです。例えば、「〇月〇日、〇〇で〇〇が行われます」といった情報を受け取っても、さほど心が動かされないでしょう。しかし、「ついにUFOに市民権!?」というタイトルならば報道者はグッと興味をひかれ、「ぜひとも取材してみたい」という衝動にかられてくるに違いないでしょう。
なぜならばそこには報道価値があるからです。人を突き動かす衝動を文字で表現できれば、報道者の関心を集めることができます。役所で配布されるような案内文書は、正直なところ味気ないし、さほど面白みも感じません。ア行の「えっ?」とか「おっ!」といった驚きを感じないからです。
報道する価値をつくり上げる
そして大切なのは、報道価値。高齢者率の高い限界集落である神子原地区は、新しいことは何もしたくないという風潮が強い地域でした。いかにして住民の閉じられた意識を開くかを考えたとき …