地域を活性化させるプロジェクトに携わる筆者が、リレー形式で登場する本シリーズ。今回は、石川県の市役所職員という立場で限界集落を活性化させた高野誠鮮さんが住民の心を動かし、地元のお米をブランド化させるまでのプロセスを紹介します。

石川県羽咋市の神子原地区の「神子原米」。
マイナス思考をひっくり返す
町おこしに関心を持ち始めた住民はすぐに協力的になるのだろうか─。答えは否です。農家が効率的に農作物を販売できるよう「直売制度」を取り入れようとしたところ、大きな反発を受けた経験がありました。2回目となる今回は、住民の心が変化していく契機となった、地元のお米のブランド化について紹介します。
石川県羽咋市の神子原地区は65歳の住民が半数を超える限界集落で、当時のこの地区の農家の平均年収は87万円でした。当然食べていけないので後を継ごうという人はいません。この状況から何とかして抜け出すために、「農家が自分で米の価格を决められるように会社をつくってはどうか」と提案をするも、失敗したときのことが先に議論されてしまい、会議はまったく進みませんでした。「赤字になったら誰が責任を取るんだ!」という否定的な考え方と発言ばかりが出るのです。直売の制度は、169世帯中わずか3世帯だけしか賛成してくれませんでした。
ここで、マイナス思考の特徴を考えてみましょう。人はマイナス思考のとき …
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