地域を活性化させるプロジェクトに携わる筆者が、リレー形式で登場する本シリーズ。関西の商店街を舞台にポスター展を企画してきたコピーライターの日下慶太さんが、新世界市場や文の里、伊丹市など、メディアの注目を集めた企画の裏側を解説します。
宮城県女川町一帯で開催されたポスター展。約2カ月かけて制作したポスターを贈呈式にて店主たちに手渡した。最後まで、不謹慎ととられるのではないかと不安ではあったが、ポスターによって「そろそろ笑っていいんだよ」という、商店主と仙台の制作者の心の片隅にあった前向きな思いがきちんと形になったようだった。
地元紙のプロジェクトに参加
今回はポスター展の広がりについて。まず5月末まで開催中の女川ポスター展から紹介しよう。2月21日から始まったもので、東日本大震災による津波で壊滅的被害を受けた宮城県女川町一帯で開催されている。河北新報社による被災地支援「今できることプロジェクト」の一環として行われた。
そもそもの始まりは河北新報社の八重嶋拓也君からのオファーだった。被災地で「商店街ポスター展」をしたい。そんな熱意とたくさんの仙台銘菓「萩の月」を持って大阪にやってきた。予算は潤沢にはなかったが、萩の月のおいしさと、被災地のためならば、ということでぼくはすぐにOKした。
ただ問題は誰がポスターを制作するかということだった。頭を悩ませていたとき、仙台出身のコピーライター・鈴木淳さんが主催する「南三陸コミュニケーション塾」の講師として呼ばれていた私は鈴木さんに相談した。そして講演の帰り、鈴木さんがセッティングしてくれた会合に向かうと …