業界ごとに存在する数多くの専門メディア。広報担当者にとっては、メディア対応の登龍門となることも多いでしょう。その編集方針やヒット企画、注力テーマを聞き、関係構築のヒントを探ります。

業界密着である同誌独自の切り口
アサヒ商会(群馬県高崎市)が2014年11月に開催し、2日間で5400人を動員した展示会「ハイノートEXPO」の来場者から、「魅力的な文具と親切な係員との出会いで娘が前向きになった」という礼状が届いたとの情報を受けて、実際の手紙を紹介。ユーザーとの触れ合いを記事にするのも同誌ならでは。
日本は世界3位の消費大国
今年で92年目を迎えたステーショナリー業界の専門誌『BUNGU TO JIMUKI』。ターゲットは全国の文具販売店が中心だが、加えて海外メーカー、ディーラーなど世界58カ国に送本している。
「日本は世界第3位の文具消費大国で、世界最高品質の製品供給国です。近年では、海外での売上が国内を上回るメーカーも多く、購読層は専門店から書店や量販店、個人など多様化しています」と編集長の福地晴一さんは説明する。
誌面は地域の評判店の紹介や新製品情報などを中心に、文具や雑貨を扱う異業種の情報収集にも注力している。
「文具は毎月たくさんの新製品が登場するため、プレスリリースが誌面づくりの柱になります。また、取材対象は文具を扱う店舗であれば、地域や業態にはこだわりません」。
編集部は、編集長と記者3人の合計4人。地域の拠点はなく、北海道から九州まで毎月寄せられる販売店のアンケートと、企業からのリリースなどをもとに取材先を選定する。
「核は、実店舗ならではの視点や提案を伝えること。全国の販売店から、“文具の魅力を知った”“前向きになれた”といったエピソードも寄せられます。人々の人生を変えられるきっかけをつくれたらいいなと思いながら制作しています」。
初回リリース時は一報を
歓迎するリリースは、革新的で意外性のある製品情報。また、使ってみないと分からないものや製品特徴が文章で伝わりにくいものは、サンプルを送付すると効果的だ。
「現物があると一番良いのですが、とはいえ実際はリリースだけで想像を膨らませて書くことがほとんど。その場合、製品の特徴や改良点など、具体的に数値や資料で提示してあると記事にしやすいですね」。
たとえ資料がそろったリリースでも画像が不鮮明なため、「できればファクスでのリリースは避けていただきたい」と福地さんは念を押す。また、初めてリリースを送る際の留意点として、「これまでにお付き合いがない雑貨系や他業界の方ですと …