「時給250万円のバイト」や「月面出店計画」、「ダジャレの公用語化」など、ユニークなプロモーション施策で注目を集めている宅配ピザ・チェーンのドミノ・ピザ。米国人社長の“体を張った”発表(演技)も見どころのひとつだ。同社の“トップ広報”の考え方とは。
ドミノ・ピザ ジャパン 代表取締役社長 スコット・オルカー氏
2010年2月、ドミノ・ピザ ジャパン代表取締役社長に就任。“体を張った”プロモーションでも有名な米国出身の社長。社長就任から半年の2010年10月、ドミノ・ピザ日本上陸25周年記念として「時給250万円のアルバイト募集」を発表し、多くの話題を集める。2011年8月には、”宇宙服”姿でドミノ・ピザの「月面出店」をウェブサイト上で発表。グローバル規模のプロモーションと錯覚するほど、数多くの海外メディアでも取り上げられた。2012年2月、子ども向けCMを小学生に任せる「子ども広報室」を開設。「スコット社長からのお願い」と題したムービーで「(大人なので)子どもの気持ちが分からずとても困っている。小学生の皆さん、ぜひ子ども向けCMを考えてくれませんか」と語る姿も注目を集めた。昨年には、新CMのPRを兼ねた「ダジャレサイト」のオープンで多くの話題を呼んだ。
「出る必要があるか」の見極めが大切
毎回、期待を裏切らない“ぶっ飛んだ”プロモーションが話題を集めるドミノ・ピザは、社長のスコット・オルカー氏(米国人)を前面に立てた発表スタイルでもお馴染み。特設サイトの動画や写真などで、社長の迫真の演技も注目を集めている。まさに社長自らが体を張った「広告塔」の役割を果たしている印象が強いが、それらもすべてマーケティング戦略のひとつ。「“面白いことをしよう”という会社のDNAから、社長に対しても自由な発想でアイデアを言える空気がある。ただし、やみくもに社長を前面に押し出すのではなく、発表内容によって出る必要があるかをシビアに見極めています」(マーケティング部 広告課 大槻 昌弘氏)。
社長がスポークスパーソンとして出るかどうかの見極めは、「“会社ごと”の取り組みかどうか」という点。事業計画や制度など、会社全体の動きとしての発表では社長が前面に出る一方で、商品の語り手としては一切出ない。「社長に提案する際には、なぜ社長が出るべきなのかという必要性を説きます。良いと感じてくれたら即決、自分が出るべき場ではないと感じたらすぐにノーと答えが明快。会社ごとの動きならば、トップが出た方が姿勢を伝えやすいですが、商品やサービスなど個別案件の場合は担当者が出た方がしっくりくる。あくまで内容に応じて、トップが出るべきかどうかを図っています。それが明確なので、社長への説得で苦労したことはあまりないですね」。
一連のPR施策は ...