新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを紹介する「リリース道場」。今回は、セキグチのイベント誘導リリースを紹介します。
モンチッチを若い世代に
日本人なら恐らく誰もが知っているぬいぐるみのモンチッチ。今回は、その生誕40周年記念イベントの誘導リリースを取り上げます。
まずは、モンチッチの基本情報から。モンチッチのメーカーは東京都葛飾区に本社がある株式会社セキグチ。もとは1918(大正7)年に関口セルロイド加工所として設立し、主に輸出用のセルロイド人形メーカーとして成長していきます。戦後には国内市場に転換し、1974(昭和49)年、現会長で当時社長だった関口晃市氏がドイツで見た柔らかいぬいぐるみに触発されて開発したのがモンチッチ。胴体がぬいぐるみで顔と手足はソフトビニール、柔らかくてクタクタしている手触りなどが日本のおもちゃ界に衝撃を与え、社会現象となる大ヒットに。多くのシリーズ商品が生まれ、テレビアニメも放映されました。
広報担当の幡野友紀さんは「モンチッチの会社だというと男性の方でもわかってくださり、お母さんや妹が好きだったとおっしゃられるんです」と話し、同じく広報担当の安藤一徳さんは「いまだに当時買ったモンチッチを修理して欲しいというお客さまがいらっしゃいます。ただその頃は類似品もたくさん作られていて、弊社では修理できないケースも多々あるのは心苦しい限りです」。そんな言葉からも、いかに日本中に普及していたかが伝わってきます。
けれどもやがてブームは収束し、日本での販売は1986(昭和61)年でいったん終了します。その後も人気の高かったフランスでは販売が続き、そうするうちに、日本国内で1970年代のリバイバルブームが発生。モンチッチもファンの声に押されて、96(平成8)年に復活します。以降は70年代の爆発的なブームとは異なる安定した人気を保ち、現在までに世界二十数か国で累計7000万個を販売しています。
ただそうした中で、ファンの中心はやはり、70年代に子ども時代を過ごした女性たち。懐かしい商品として認識されていて、今も販売していることを知らない人も多いといいます。となると広報的な課題は、(1)現役の商品だと知ってもらい、(2)より若い世代に認知を広めていくことです。
そうした目的で開かれているのが ...