新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを紹介する「リリース道場」。今回は、TOTOの調査データを活用したリリースを紹介します。
一見すると調査リリースだが
せっかくお洒落で料理もおいしい飲食店を見つけたのに、トイレが汚くてガッカリ、もう二度と行くまい......なんて経験は誰にでもあると思います。今回取り上げるのは、トイレやシステムキッチンなど水まわり機器の大手メーカー・TOTOが配信した、飲食店のトイレに関する意識調査の結果をまとめた調査リリースです。ただ、このリリースがよくできているのは、一見調査リリースに見えて、読み進めていくと、最終的には調査結果などが掲載されている「まちなかトイレ通信」というフリーペーパーのPRにもなっていることです。
このような小冊子は多くの企業が発行しているので、正攻法でその紹介リリースを打ってもなかなか反応してもらえませんが、本件は調査リリースの体裁を取ることで、多くのメディアに取り上げてもらうことに成功しています。
そもそもTOTOでは、家庭用以外のトイレとして、「学校トイレ」と「病院と福祉のトイレ」にも力を入れて、関係企業などと研究会を作り、毎年冊子を発行してきました。飲食店用の「まちなかトイレ」はそれに続く第三弾として力を入れている分野です。近年は飲食店のチェーン化が進み、トイレなども全店一斉に改善整備する店がある一方で、古くからある個人飲食店では、いまだに和式トイレを使っているなど格差が広がっているといいます。2020年には東京オリンピックも開催されることですし、世界中からやって来る旅行者にも、きれいなトイレでおもてなしをしてほしい。そうした意識改善の啓蒙とおもてなしトイレの提案を行っているのが「まちなかトイレ」活動です。