女優・創作あーちすとであるのんさんが初めての映画監督・製作にチャレンジする舞台裏を追いかけたドキュメンタリー『のんたれ』が、10月にYouTube Originalsとして公開された。1年半近くのんさんを追いかけ、トータルで2時間近いドキュメンタリーを制作したのは、YouTube、PARTY、TYO、CEKAI、MURAIMURAなどからなるクリエイティブチームだ。
表現する場としてのYouTube
タイトルの『のんたれ』は、常に自分らしい"人間たれ"という志と、"のん・タレント"をかけたもので、「まだアイデンティティが定まらない若い人たちが、同世代であるのんさんの姿を通して、表現とはどういうことかを考えるきっかけになって欲しいという願いを込めました」と、仕掛け人のひとりであるPARTY クリエイティブディレクター 伊藤直樹さんは語る。今回ブリーフィングを受けて、伊藤さんはYouTubeが掲げるミッションステートメントのひとつ「表現する場所をあらゆる人に提供し、その声を世界中に届ける」を意識して企画を練った。
一方、Google エグゼクティブ クリエイティブ プロデューサー 杉塚崇さんは、「YouTubeの価値観をクリエイティブの観点からハイレベルなところで消化できるメニューとして位置付けているYouTube Originalsで、コアとなるジャンルのひとつとしてパーソナリティ系のコンテンツが欲しいと考えていたところ、伊藤さんから表現者としてののんさんに総合芸術である映画作りにチャレンジさせたいとのオファーがあり、思いがピタリと合致したと感じました」と振り返る。
2017年12月末の提案時に決まっていたのは「フルスタックエンジニア」──のんさんが一人で監督、女優、美術などすべてをこなすという作り方だけだった。「昔に比べてMacintoshがリーズナブルになり、何でも一人でこなしてしまう若者が増えている。そんな新しい表現者の姿を、彼女を通して描けるかもしれないと考えたんです」(伊藤さん)。
2017年8月からシナリオハンティングやロケーションハンティングのため、岩手県遠野に籠ったのんさん。アーチストインレジデンスで制作を進める中で、女優の桃井かおりさんを始めとする"先生"たちとビデオ会議を使うなどして意見を交わした …