IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

           

見る人のモーメントを捉える映像表現

一口サイズのスナック感覚で見てもらえる「10秒動画」

ジェームス/連続10秒ドラマ「愛の停止線」

クルマを舞台にした恋愛模様と、それを取り巻くアイテムたちに焦点を当てた連続10秒ドラマ「愛の停止線」。15秒でも、6秒でもない、「10秒」というフォーマットとは?

合計再生回数1000万回を越えた連続10秒ドラマ「愛の停止線」。現在、第三弾まで21話が公開されている。

CMプランナーだからこそつくれる動画を

連続10秒ドラマ「愛の停止線」はカー用品・カーメンテナンスの店舗を展開する「ジェームス」(タクティー)で扱う商品をキーアイテムに、1商品につき10秒のストーリーを制作。それを続けて見ることで、1本の恋愛ドラマになるという仕掛けの動画だ。企画を担当した博報堂 クリエティブディレクター/CMプラナー 神田祐介さんは当初のオリエンについて次のように振り返る。「最初に”マスではなくデジタルで認知を上げたい”という相談がありました。とはいえ、Webでバナーを出稿しても、そんなに大きな効果は望めないと思い、動画の制作を提案しました」。

この動画で最も特徴的なのが、「10秒」という尺である。15秒でも、6秒でもなく、10秒を選んだ理由を、神田さんは次のように話す。「いまはYouTubeやInstagram、NETFLIXなど、さまざまなコンテンツが無数にある時代。若い人たちはスマートフォンを見るのが精一杯で、そこには広告が入る隙がないと感じていました。その中でカー用品が次々と出る長尺動画をつくっても見てもらえる確率は低い。でも、10秒だったら"見てもいいかな"と思ってもらえるのではないかと思ったんです」。

10秒の動画を連続して見せることで、ジェームスに揃うカー用品の多様さを見せることができる。さらには、世の中に溢れる動画コンテンツとの差別化にもつながる。「CMプランナーだからこそつくれる動画コンテンツであれば、視聴者にも新鮮に見えるのではないかと考えました」。

「広告ならではの面白さ」を追求

連続10秒ドラマは、2018年10月から現在までに21本の動画が公開されている。実は当初、制作本数は決まっていなかった。「製作費から撮影できる本数を逆算すると、2日間の撮影で最大7本でした。そこでクライアントが紹介を希望した商品を見ながらストーリーを考え、最終的に7個の商品を選びました」。カー用品を入れ込むので、必然的に車のシーンが多くなる。そこで、車を使った大人の恋愛ドラマをつくることにした。

主人公は、新しい恋と仕事に揺れ動く部長で、その舞台の多くは長年乗り続けた彼の愛車だ。商品とストーリーを組み合わせていく中で、部長の部下・沙世、部長の元妻・道子、謎の美女といったキャラクターが登場する …

あと65%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

見る人のモーメントを捉える映像表現 の記事一覧

映像コンテンツのつくり手はいま何を考えてモノづくりをしているのか
進化、浸透するデジタルサイネージのいま
映像制作のジェネラリスト ビデオグラファー
効果検証を行い、売上を伸ばせるテレビCM をつくる
視聴者の変化に合わせた3秒(でわかる)レシピ動画
テレビCMの再編集では難しい? 「6秒動画」の企画のポイント
テレビと異なるメディアで機能する映像にいま求められるもの
Instagramカップルアカウントで描く『推せる2人』のストーリー
「新しい表現者」のあり方を見せるドキュメンタリー
テレビでこれまで見たことがないドラマをつくる
メディアを超えて広がる新しい新聞体験の場
一口サイズのスナック感覚で見てもらえる「10秒動画」(この記事です)
ブレーンTopへ戻る