
BASSDRUMコアメンバー。左上から、代表の清水幹太さん、鍛治屋敷圭昭さん、村上悠馬さん、公文悠人さん、Saqooshaさん、イズカワタカノブさん。
新しい考え方の"職能コミュニティ"
テクニカルディレクターが集まり結成された「BASSDRUM(ベースドラム)」が2018年11月、本格的に活動を開始した。設立メンバーは、清水幹太さん(PARTY NYと兼任)、鍛治屋敷圭昭さん、村上悠馬さんの3人。ほか、コアメンバーとして、元博報堂アイ・スタジオの公文悠人さん、Saqooshaさん・イズカワタカノブさん(dot by dotと兼任)が参画する。さらにコミュニティメンバーとして、多様なバックグラウンドを持った外部のテクニカルディレクターたちもネットワークしていくという。
「デザイナーもいないし、専任のプログラマーもいない。テクニカルディレクターという職能の人間のみで構成された会社です」と設立メンバーの清水幹太さんは話す。「テクニカルディレクターは、テクノロジストなどと混同されることも多いのですが、その本来的な役割は、組織に1人、あるいはプロジェクトに1人、"一家に一台"的な立場でテクニカルな知見と経験を持って、事業やプロジェクトに寄与していくことです。現状ではただ技術に詳しい人や、技術者を取り仕切る人だと思われることも多いので、そこの理解を進めつつ、テクニカルディレクターという職能のプレゼンスや価値を高めていくことが大きな目的です」。
清水さんと共にBASSDRUMを設立した元AID-DCCの鍛治屋敷さんは、「ミッション、ビジョンありきで会社が立ち上がっているのが、ほかの制作会社やクリエイティブエージェンシーと大きく違う点」だと話す。
「テクニカルディレクターのスキルや役割は、まだ現場でも十分理解されているとは言えません。プログラマーの上位職やシニアエンジニアと思われがちですが、単にこういうものを作れますか?と問われて高いレベルで返すのがテクニカルディレクターの仕事ではありません。ものづくりのプロジェクトにコアメンバーとして参画し、経営層やクリエイティブディレクターと現場をつなぎ、『技術の翻訳家』『話ができる技術者』としての役割を果たすのが、テクニカルディレクターです」。BASSDRUMからそのメッセージを発信することで、エンジニアの今後のキャリアパスも示せるのではと考えている。
「BASSDRUM」の名前の由来は、打楽器のベースドラム。楽曲(プロジェクト)の中で、表立って主張することはないが、他の楽器がよい音を奏でられるよう、曲全体を支える欠かせないパーツとしてテクニカルディレクターが存在している。そんな意味合いを込めた。
テクニカルディレクターを育てる環境を惜しまず提供したい
代表の清水さん自身がPARTY NYと兼任であったり、専属社員もいればコミュニティメンバーとして協働するフリーランスのメンバーもいるなど、BASSDRUMは会社というよりも、ゆるやかなテクニカルディレクターの"職能コミュニティ"という方が理解しやすい。コミュニティメンバーは、案件に応じて自由に自分の名刺とBASSDRUMの名刺を使い分けていく。
「ポートフォリオを共有する仕組みも作ります。他の会社に所属していても、あるいはフリーランスであっても、BASSDRUMとして営業したり、プロジェクトに参加する際に、BASSDRUMメンバーのポートフォリオを実績としてプレゼンテーションできるようにします。そうやって、チームの力を自分の仕事の幅を広げるのに使ってもらえたら」(清水さん)。
メンバー間で技術情報や機材の共有を進め、コミュニティ全体でレベルを向上させていくようなインフラも整備していくという …