国民的キャラクターであるドロンジョとブラック・ジャックがコラボレーションした、婚活支援サービス「パートナーエージェント」による広告展開。2人の出会いはどのような提案がお膳立てしたのか。
婚活の本音を語るにはキャラクターがいい
タツノコプロ制作のアニメ『ヤッターマン』と手塚治虫マンガ『ブラック・ジャック』から本来出会うはずのない国民的キャラクターのコラボレーションが実現した広告「ドロンジョとブラック・ジャック」。この広告は「想像を超える出会い」をブランドコンセプトに掲げ、婚活支援サービスを提供するパートナーエージェントのキャンペーンとして展開された。
制作を担当したDentsu Lab Tokyo クリエイティブディレクターの田中直基さんは、その経緯を次のように話す。
「もともとは交通広告の原稿差し替えの相談だったんです。それまでクライアントはネット広告と交通広告だけ展開していて、その目的はクリックやコンバージョン率を高めていく、いわゆる"刈り取り"のアプローチでした。一方で、それらによる顧客獲得がある意味、頭打ちをしていた。オリエンの時点では、ダイレクト・レスポンス的な提案を求められていると感じていましたが、本当に必要なのはブランディングなのではないかと思いました。そもそも婚活業界は先入観で『怪しい』と感じられてしまいがちなので、まずはそのイメージを変える企画にしようと考えていきました」。
そこで、王道感のあるビジュアルでイメージ転換を図るという方向性を軸に据えた。
「婚活業界の広告事例をいくつか見せてもらったところ、あんまり"本音"っぽくないなあ、と感じました。それはたぶん、『年収が気になる』など本音を人間が言ってしまうと生々しさが出ちゃうからなんですね。それで人の代わりにキャラクターに言ってもらったらどうかなと思いついたんです」と電通 CMプランナー/コピーライターの栗田雅俊さん。キャラクターであれば核心をつく発言をしても客観性が保たれると考えた。
ドロンジョとブラック・ジャックというキャラクターを選択したのは、同時に提案したパートナーエージェントのブランドコンセプト「想像を超える出会い」を意識したからだ。「婚活サービスは普段会っている人ではなく異なる世界にいる人が出会うものなので、違う世界観の2人がいまっぽく出会ったら面白いかもと思いました。例えばドロンジョは、独身でバリバリ仕事をしている人なので、現代の女性を表現する上でも最適なキャラだなあとか」(栗田さん) …