土間や縁側といった、古きよき日本の住まいの構成要素を土地にあわせて再構築したシンプルなデザイン。家の内と外をつなぐ空間を生み出すことにより、その土地と一体となった新しい住まいが完成した。
丹波の四季を五感で感じる事ができる暮らし
兵庫県丹波市春日町多田地区は「保月の里」と呼ばれ、地域住民の手により、里山の美しい田園風景と自然環境が残る土地。その土地に、古きよき日本の住まいをモチーフに建設されたのが「保月の家」だ。建物北側には桜並木、西側には紅葉の群生、南側には田園風景越しに里山の山並みが広がる恵まれたロケーションを活かし、風景と一体となるような工夫が施されている。
建物には縁側や土間、軒など日本家屋が持つ内と外を繋ぐ中間領域や、フルオープンできる開口部を設置。また、コーナーを利用した広角の見え方や吹抜け越しの高窓、ちらりとのぞく小窓など開口部の大きさ、高さ、方向を工夫し、景色の見え方をコントロールすることで、家自体が軒下の空間のように、室内にいながら丹波の豊かな四季折々の風景や香りが五感で感じられるようになっている。
床や天井、造作家具などは地元丹波市産の杉材が用いられている。「元々、新建材を使わず自然素材を用いた家づくりを行い、経年変化を味わえるような家づくりを推進していました。地元の木を使用することでその土地とも馴染み、地産池消をおこなっています」と代表取締役社長 吉住正基さんは話す。
- PR :吉住俊一、吉住正基
- Dir :藤田瑞夫
- D :澤田伸一
審査員講評:住宅のシンプルさが自然となじむ
美しい里山の田園風景の中に建つシンプルな架構の事務所併用住宅です。美しい景色を室内へと取り込む大開口と、大開口を取り巻く深い軒や縁側が、周囲の自然を心地良く楽しめる住まいを作り上げています。外観も非常にシンプルにまとめられ、軒を薄くすることでシャープな印象の住宅となっています。内部は木造でありながらも、柱の無い大空間が実現されています。地元の杉材を使用した、広い床面や天井面が非常におおらかで、好感が持てます。
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