2016年11月に静岡県浜松市北部にオープンした「白のMINKA」は、レストランや多目的スペースを兼ね備えた宿泊施設。都心からアクセスも良いこの土地で古きよき日本の田舎ならではの魅力を伝えている。
地域が主役となる施設づくり
静岡県浜松市の北部に位置する都田は、ローカル線が一時間に1本しか来ない小さな無人駅。都田建設DLoFre’sは「スローでクリエイティブなまちづくり」をコンセプトに、地域活性化を図っている。都田駅から徒歩15分ほどの場所ににある「白のMINKA」は、白い外観に三角屋根の塔が目印の宿泊施設。周辺を山と農耕地に囲まれ、訪れた人が日常から離れ、心が浄化されるような土地だ。6棟が集まり一つの施設となっている建物は、「スキマ・ヨハク」を意識し設計。建物と建物の間から見える風景や、室内にいながら、外の空間との繋がりを感じられる大きな窓、デザイン性の高い北欧家具がなどが、リラックスした空間を生み出している。
「施設のいたるところから周辺の風景を見えるようにすることで、この土地だからこそ感じられる、古きよき日本の田舎の魅力を伝えたいと思っています」と設計を担当したピー・アイー・イー代表取締役 坂本政彦さんは話す。観光客だけではなく、地域の人が利用できるスペースやレストランも設けている。そこには、この地に暮らす人にも改めて地元に誇りを持ってもらいたいという思いを込めている。
- PR+D/蓬台浩明
- D/坂本政彦
審査員講評:地元工務店ならではの施設
小ぶりながら、いくつかの積極的な取り組みを行っているところが興味深い。まず敷地。交差点を挟んだ2つの敷地に、施設をばら撒くように置くことで、街並みになじみ地域に密着した配置になっている。
加えて、クライアントが地元の工務店であり、地域への情報発信や活性化に熱心なのも好感が持てる。とかくこの手の施設は、自然素材や和風のプロポーションが押しつけがましくなりがちだが、ここではminkaと名乗りつつも、白い二階建てのコロンとした外観で、他とは一味違う仕上がりになっているのも良い。
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