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地域にはクリエイティブディレクションが必要だ!

デザインマネジメントで地域再生に挑む 京都与謝野町

山添藤真(京都府与謝野町長)× 田子學(MTDO inc.)

全国最年少32歳で当選(2014年当時)した若き町長が、デザイナーの田子學さんをクリエイティブディレクターに招き、故郷与謝野町の地域再生に挑む。この異色のタッグから、何が生まれようとしているのか。

右:山添藤真(やまぞえ・とうま)
与謝野町長。1981年京都府生まれ。2000年京都府立宮津高等学校卒業後、フランスに留学。2004年フランス国立建築大学パリ・マラケ校入学、2008年フランス国立社会科学高等研究院パリ校2年次修了。2010-14年与謝野町議会議員。2014年4月与謝野町長就任。

左:田子 學(たご・まなぶ)
MTDO inc. 代表取締役。アートディレクター/デザイナー。東芝デザインセンター、リアル・フリートを経て、2008年エムテド設立。幅広い産業分野においてコンセプトメイキングからプロダクトアウトまでをトータルでデザイン、ディレクション、マネジメントし、社会に向けた新しい価値創造を実践している。

産業の活性化に
共に取り組むパートナーを求めて

与謝野町は、京都府北部、日本海に面した丹後半島の付け根に位置する町。人口は約2万3千人。俳人の与謝野蕪村や与謝野鉄幹・晶子のゆかりの地でもある。織物の町として知られ、高級絹織物「丹後ちりめん」はその代表格だ。

2014年より町長を務める山添藤真さんは、与謝野町出身で、フランスで建築を学んで6年前に帰郷した。かつての賑わいが影をひそめた故郷で、地域再生に取り組むことを決意。与謝野町を支えてきた基幹産業である織物業は、1970年のピーク時の約20分の1の規模にまで下降しており、それがこの地域の最大の社会課題となっていた。「産業の活性化に取り組むことで、町に活気と賑わいを取り戻す」を方針に、町議会議員の時代から活動してきた。

「与謝野町には、素晴らしいものを作り上げる力があります。与謝野町の作り手は代々独立心が強く、革新性を取り込む精神を持っています。ただ、ものづくりにクリエイティブを掛け合わせ産業を発展させていく、そういう経験をしていない地域です。そんな与謝野町にこそ、デザインの力が必要だと考えました」。建築を長く学んできた山添さんにとって、デザインとは単なる形状の話ではなく、土地の文脈をいかに読み取り、その上で地域の人を巻き込んで建物を輝かせていく、その一連のビジョンと行動を指す。2014年の町長就任後、早々に行ったのが、こうした大きな枠組みでのデザインを考えられるパートナーを探すことだった。

そして2014年7月、田子學さんと出会う。知人を介して田子さんを知った山添町長自らメールを送り、アポイントを取った。田子さんはこれまでも、モノありきではなくブランディングや戦略を含め、あるべきアウトプットの姿を企業の経営視点から考える「デザインマネジメント」を実践してきた。その手法は企業だけではなく、地域や国などの組織でも適合できるはずだと考えていたところへの、与謝野町からのオファーだった。当時を振り返り、「いよいよこうした案件が出てきたと、興味を持ちました。しかし行政の仕事はしたことがなかったから不安もあった。とにかく一度話をしてみようと、実際に会ってみると、『町長』のイメージとはほど遠い人で、これは面白いと。話をうかがって、これは日本を変えるかもしれないチャレンジングな仕事だと、俄然やる気になったんです」。

最初の打ち合わせで、山添町長は町の課題やこれから作っていきたい町の姿については話したものの …

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