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地域にはクリエイティブディレクションが必要だ!

ソーシャルデザインの手法で町の10年ビジョンをつくる 高知県佐川町

堀見和道(高知県佐川町長)× 筧裕介(issue+design)

高知県の人口1万3千人の町、佐川町(さかわちょう)。9月28日、この町のクリエイティブディレクターにissue+design(博報堂)の筧裕介さんが就任したことが発表された。

右:堀見和道(ほりみ・かずみち)
1968 年高知県佐川町生まれ。東京大学を卒業後、新日本製鐵ほかを経て、2000 年に堀見総合研究所設立(のちに堀見和道まちづくり研究所)。2013 年佐川町にU ターンし町長に就任。

左:筧 裕介(かけい・ゆうすけ)
1975 年生まれ。一橋大学社会学部卒業。東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)。2008 年ソーシャルデザインプロジェクトissue+design 設立。以降、社会課題解決のためのデザイン領域の研究、実践に取り組む。

町の経営のパートナーとして指名

佐川町の町長に堀見和道さんが就任したのは2013年10月、約2年前のこと。元々佐川町の出身で、大学卒業後、東京で建築の仕事や静岡でまちづくり事業に携わり、自身のコンサルタント会社を立ち上げたのち、地元にUターンして町長に就任した。

佐川町は、高知市の中西部に位置した温暖湿潤な盆地状の町。お茶や苺、新高梨、文旦などの果物作りが盛んなほか、県を代表する銘酒「司牡丹」の酒蔵を擁する。世界的な植物学者の牧野富太郎博士を輩出するなど「文教のまち」としての側面も持つ。

約1万3千人の人口はゆるやかな減少傾向にあり、その対策や新たな産業の創出などが課題となっていた。これまでの経験から「企業経営も、町の経営もどちらも課題解決」と考えていた堀見町長は、佐川町でも事業改革が必要だと実感。当時の佐川町は、10年ごとに作られる町の総合計画をちょうど新しくする時期を迎えており、共にその計画を作り上げるパートナーとして、博報堂の筧裕介さんに声をかけた。

筧さんは、2008年にソーシャルデザインプロジェクトissue+designを設立し、以降、社会課題解決のためのデザイン領域の研究、実践に取り組んできた実績を持つ。当時コミュニティデザインやソーシャルデザインの考え方に関心を寄せていた堀見町長が、書店で筧さんの著書を見たことがきっかけだったという。

「企業で言えば経営レベルの関わりを求められていると感じました。実際に産業戦略も一緒に考えていて …

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