広島県の観光キャンペーンがスタートしたのは、2012年。「おしい!広島県」という自虐的な観光キャンペーンが話題を集め、そのクリエイティブは各地の観光キャンペーンの先駆けとなった。開始当初より、広島県のCD的な役割を担っているのが、映像ディレクター 江口カンさんだ。広島県との4年にわたる取り組みを振り返る。

江口カン(えぐち・かん)
福岡生まれ。97年 KOO-KI共同設立。東京五輪招致PR映像「Tomorrow begins」のクリエイティブ・ディレクション、ドラマ「めんたいぴりり」の監督、Webムービー「TOYOTA G’s『Baseball Party』」の企画・監督など、CM や短編映画、ドラマなどエンターテインメント性の高い作品の演出を数多く手がける。国内外の広告賞を数多く受賞。
映像より、究極のガイドブック
1年目の目的は、全国の人たちに「広島には原爆ドームと宮島以外にも、観光資源がたくさんある」ことを認知させること。「おしい! 広島県」という自虐的なキャッチフレーズが世間に受けたこと、そして観光大使でもある有吉弘行さんなどタレントの知名度も奏功し、「観光地としての広島に注目してもらう」という狙いは成功しました。2年目は「やっぱり、おしい! 広島県」と題して、引き続きキャンペーンを行いましたが、宣伝効果は弱かった。ただ、1年目の「おしい」というコピーの認知度が高く、インパクトが残っていたので、客足は伸びていきました。
3年目のキャッチフレーズは「泣ける!広島県」。Perfumeが表紙を飾ったガイドブックが全国で話題になりました。キャンペーン開始から2年を経て、そろそろ広島県の本質的な魅力や観光資源をPRしていかなければならない。そこで最初は …