『ホントよく喋る編みぐるみ』
最後は顧客の手に渡るノベルティグッズ。社員が心から渡したいものか、それを渡すことの意義をきちんと理解してもらえているか。そうしたことを考えると、インナーを意識することの重要性が、グッズ一つひとつにも見えてくる。
08年からのべ100種を制作
保険の販売チャネルは多様化している。営業職員や保険代理店のほか、最近では保険ショップや銀行窓口での販売も一般化してきた。消費者が保険に加入するまでに携わる人すべてが、保険会社にとってのインナーパーソンとなる。
しかも保険ショップや銀行窓口などでは多くの場合、複数の保険会社の商品を扱う。自社の商品に思い入れを持ってもらうには商品内容だけでなく、企業の人格や思いも含めて伝え、浸透させていくことが必要だ。
生命保険会社の東京海上日動あんしん生命は、ノベルティグッズでもインナーを意識して、自社の社風を浸透させるために活用している。その特徴は「胸がときめくほど可愛いでございましょうセエメエ小物入れ」「おや痛そうじゃねぇか、ちょいと貼っときなよ絆創膏」といったネーミング。同社への愛着を育てるねらいだ。
消費者より前に、まずグッズを目にするのは代理店を支援する支社の営業担当者。「キメの細かい仕事が嬉しいマイクロファイバークロス」という長すぎる名前と、自ら「キメの細かい仕事」と言ってしまうオカシさで、くすっとしてもらえたら...ネーミングにあんしん生命の思いが表れる。
グッズの内容を決めている、あんしん生命 企画部経営企画グループの前田友香さんは「本当に使ってもらえるもの、手元にあると便利なもの、値が張らず、営業担当者や代理店が持ち運びやすいものを選んでいます。一方、ただロゴをプリントしただけのグッズはつくりたくなかったんです。そこで、ネーミングでオリジナリティを発揮しようと考えました」と話す。
グッズのもうひとつの特徴は、無償で配るのではなく、支社や代理店が購入しているということ。有償にもかかわらず、グッズのシリーズ展開は2008年から数えて6年目を迎える。内容を入れ替えながら常に30種ほどを用意し、これまでのべ100種近くを制作した。