日産自動車が6月に発売した軽ハイトワゴン車「DAYZ(デイズ)」。軽自動車はOEM販売だった日産初の、企画段階からつくり上げたクルマだ。この「デイズ」がけん引して、同社8月の軽自動車販売台数は前年比40%増と好調を見せている。
01, 02 「 HAPPY BIRTH DAYZ MUSIC VIDEO MESSENGER」
Facebook上のコンテンツ。撮影に3日間を要した。
車体を主役に可愛らしく
レギュラーガソリンは9月9日現在、リッター161.4円。8月に160円を超え、9月に入っても2週続けて値上がりしたと、石油情報センターは伝える。シリア情勢や円安の影響から、しばらくは同水準で推移しそうだ。クルマを使う機会が多い消費者にとっては、生活費にも緊張が走る。
この状況を反映してか7~9月は、生活車として小回りが利き、維持費も安価な軽自動車に人気が集まっている。全国軽自動車協会連合会の統計は7月、3カ月ぶりにプラス転換、8月も人気は続き、2カ月連続で単月過去最高をマークした。
日産自動車の軽自動車販売を支えるのは6月6日に発売した「DAYZ(デイズ)」だ。同社は2002年に軽自動車市場に参入したが、三菱自動車やスズキからの供給(OEM)を受けての販売だった。「デイズ」は11年に三菱と合弁設立した新会社「NMKV」による設計で、初めて企画段階から日産が手がけた軽ハイトワゴン車。「日産のすべてを、軽に。」とのキャッチフレーズが、同社の思いの強さを代弁する。
「それだけに、いままでの軽自動車にはない圧倒的な品質感を感じさせる必要があった」と語るのは、デイズを手がけるTBWA﹨HAKUHODOのクリエイティブディレクター 漆谷浩さん。「いま軽自動車は、価格から品質へ競争がシフトしはじめています。日産が持つ、高い技術力に裏づけられた品質を、ターゲット層であるお子さんを持つ主婦層にうまく伝えられれば、市場でも受け入れてもらえるはず」。
「日産のすべて」というコンセプトを、いかにわかりやすく伝えるか。漆谷さんが、クリエイティブが形をなしたと確信したのは、5月20日からオンエアされたテレビCM「ビッグアンベール」篇のプランニング時だったという。「大きなベールをかけられた日産のグローバル本社ビルがスルスルと縮んでいき、取り払うとデイズになる。このビジュアル表現なら、コンセプトをきちんと伝えられると感じたんです」。
Facebook上では8月末、「HAPPY BIRTHDAYZ MUSIC VIDEO MESSENGER」を公開。60日以内に誕生日を迎える友人をお祝いするメッセージやムービーを送れるコンテンツだ。メトロノームはウインカーのクリック音。クラクションやドアの開閉音、タイヤがこすれる音を楽器代わりにデイズがハッピーバースデーソングを奏でてくれる。
デイズ車体や各パーツから取った「デイズ文字」で相手の名前を記し、年齢が添えられたろうそくを吹き消すなどディテールにも配慮している。
「技術力」とうたうと固さがつきまとうものだが、同コンテンツではデイズの車体そのものを主役にしながら、可愛らしく見えるよう仕上げた。こうしたキャンペーンの後押しを受け、「デイズ」は発売後、販売ランキングトップ10入り。下半期に向け、さらなる拡販を狙う。
- 企画制作/TBWA﹨HAKUHODO+博報堂+ティー・ワイ・オー+PARKPICTURES+777 interactive
- ECD/福島和人
- CD/漆谷浩
- 企画/近山知史、小笠原健
- C/鈴木聡、志水雅子
- AD/徳野佑樹
- PRプランナー/三浦崇宏
- デジタルプランナー/益田準也、生駒健太
- アカウントマネージャー/小山洋平、河内英明、中村洋介
- アカウントディレクター/姜玄準、鈴木智、中尾素子
- アカウントプロジェクトリーダー/岡本哲宗
- AE/山口裕史、鈴木淳平、塩谷瑶子、子上峻平
- AE(デジタル)/藤井拓真、上村鷹、綿野彩子
- アカウントスーパーバイザー/有賀勇人(デジタル)、斉藤正紀(メディア)
- PR/榑谷美紀、深津広孝、浜谷英輝、古関友朗、谷ヶ崎深志、Richard Fenton
- CAS/石川未来子、白土学
- PM/関根心、田中舞