花王は2006年から、企業理念「花王ウェイ」を浸透させるために、国内外で社員ワークショップを継続的に実施している。目的は「理念を基に自律思考する」社員の育成にある。社内で理念浸透に携わる下平博文さんがそのノウハウを語る。
社員の「思考」が企業らしさを生む
「顧客が商品を選ぶとき、スペックだけではなく、各企業の紡ぐストーリーや背後にあるカルチャーの違いで選んでいただける可能性は大いにある。一方で、私は企業が掲げる理念は、普遍的であっていいとも考えています」。花王 コーポレートコミュニケーション部門で、同社の企業理念「花王ウェイ」の社内浸透に携わる下平博文さんは、このように切り出した。
「誰もが頷けるからこそグローバルでも共有できるのであって、普遍的であることは大切です」と下平さんは指摘する。
企業理念が個性的でないとすれば、その企業らしさ、フレーバーを立ち上らせるのは一体何だろうか。下平さんは「理念に立脚した、個々の社員の『思考』が源泉となる」と語る。自分の仕事の価値をどうとらえているか、また、その感性が重要と言うのだ。「『カスタマーファースト』と理念を復唱しても意味はありません。『第一に考えるべきカスタマーとは、一体誰だ?』と自問自答する。自分の頭で考え、答えを発掘することが大切なのです」。