国内外に社員6万人を抱えるITサービス大手のNTTデータ。インナー向けとはいっても、その人数はちょっとした自治体規模だ。それだけに、消費者コミュニケーションよりももっと魅力的なエンゲージメント施策が必要だった。
NTT DATA One Song- Shine like the sun - (Japanese ver) 日本語版
NTT DATA One Song- Shine like the sun - 英語版
01 創立25周年記念パーティでの合唱。
ビッグデータ解析システムを活用
「NTTデータの歌を作ります!」――2012年7月の新社長就任イベントで、岩本敏男社長は高らかに宣言した。これだけならトップダウンの号令に聞こえそうだ。しかし同社長の思いは少し違っていた。
「社名を連呼したり、システムがどうの、データがどうのといった押しつけがましい歌ではない。社員の心が動く歌にしたい」。NTTデータは07年頃からM&A(合併・買収)を積極的に繰り返している。その結果、現在では全体で6万人超の社員を抱えるグローバル企業に急拡大した。国内社員は3万人強で、半分近くが海外社員だ。
コーポレートソングの目的は、同社にまだ愛着を持ちきれていない社員や、日本とは異なる文化背景を持つ社員が増える中、企業としてひとつの文化を作ること。「歌は万国共通、世界中誰でも楽しめる。歌を通じてなら、NTTデータ独自のカルチャーが作れるというのが同社プロジェクトメンバーと共に考えた大きな狙いでした」と、制作に携わった博報堂ブランドデザインのディレクター 江口公浩さんは振り返る。「それなら、制作時点から社員を巻き込んだほうが文化づくりの目的にかなうのではないか。曲作り自体をエンゲージメントの装置にしようと考えたんです」。
ここにもう一工夫、味つけをしたのが、NTTデータのビッグデータ解析サービス「なずきのおと」。通常は、Web上のニュースやブログ、Twitterからテキストを収集し、分析するサービスだ。アンケートや営業日報といったものも解析の対象となる。これを用いて、歌詞に取り入れる言葉を抽出することになった。