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ネットサービスに見る 若者の消費意識・価値観

データで見る デジタルネイティブの情報行動

橋元良明(東京大学大学院)

10代・20代を取り巻く環境は以前とは大きく変化し、それに伴って現代の若者たちの情報行動も大きく変わった。最新の情報行動調査結果のデータをもとに、10代・20代の情報行動やその情報源として利用されているメディア、そして心理傾向について、東京大学大学院情報学環の橋元良明教授が語る。

図表1 10代・20代のテレビ視聴時間、ネット利用時間の経年的変化

10代・20代の情報行動

1990年生まれで今年25歳になったA君(20代代表)と、2000年生まれで15歳になったB君(10代代表)がいるとします。iモードサービスの開始時(1999年)にはA君9歳、B君はまだ生まれていません。mixiのサービス開始時(2004年)にはA君14歳、B君4歳、YouTube閲覧可能(2005年)がA君15歳、B君5歳、Twitter日本版サービス開始時(2008年) にはA君18歳、B君8歳、LINE開始時(2011年)はA君21歳、B君11歳です。彼らは生まれながらにしてネットが自由に使える環境にあったばかりでなく、A君は中学時代、B君は物心ついたときにすでにSNSや動画がネットで利用できる環境にありました。

私の研究室では1995年から5年おきにランダムサンプリングによる訪問留置法で全国を対象に「日本人の情報行動調査」1)を実施していますが、2015年調査の結果、10代・20代でテレビの視聴時間はそれぞれ72.6分と111.3分、自宅でのPC経由2)でのネット利用がそれぞれ11.4分、44.8分、携帯ネットの利用(場所問わず、スマートフォンを含む)はそれぞれ95.2分、102.4分でした。数字で見ても明らかなように、若者において、ネットの利用はPCではなくモバイル経由が中心になっています。

図表1は2005年以降の10代・20代のテレビ視聴時間、ネット利用時間(自宅PC経由と携帯・スマホ経由の単純合計)の推移を示したものですが、10代・20代とも2015年にはネット利用時間がテレビ視聴時間を上回っています。

1)「日本人の情報行動調査」は全国13歳から69歳の男女が対象で、層化2段無作為抽出、訪問留置調査による。サンプル数は年によってバラツキがあるが、おおむね1500から2000。2010年と2015年調査は2015年調査は同年6月に実施。

2)タブレット経由も含む。PC・タブレット経由のネット利用を自宅に限定するのは、職場や学校での非私的利用を排除するためである。

10代・20代における消費行動の情報源

図表2 グルメ、ショッピング、旅行・観光の情報源(最もよく利用するもの)2014年調査

注)他に「ラジオ」「動画共有サイト」等の選択肢もあるが、全年層平均で選択率が1%に満たないため表から割愛。網掛け部分はその年層に特徴的なセル。

橋元研究室は …

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