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広告企画

XとDoubleVerifyが協働 インフィード広告の安全性と適合性を担保し、安心の広告環境を

武田 隆氏(DoubleVerify)、松山 歩氏(X)

2023年12月、DoubleVerify(ダブルベリファイ、以下DV)は日本市場で、Xのプラットフォーム上でインフィードブランドセーフティ&スータビリティ(適合性)ソリューション「DV Brand Safety & Suitability for X」の提供を開始。Xでの広告配信面の安全性とブランド適合性を担保しつつ、測定したデータから得られる示唆をもとに、より成果につなげていくための改善が可能になったという。今回のソリューション提供に至る経緯や、実際の導入成果をDV、Xの2社に聞いた。

(左)X(Twitter Japan)
代表取締役
松山 歩氏

(右)DoubleVerify
代表取締役 日本法人代表
武田 隆氏

国内アクティブユーザー数は増加 対話型AI Grokも準備中

─Xの国内での現状について教えてください。

松山:日本は世界的に見ても、非常に活発にXが活用されている国です。実際に国内のユーザー数も順調に推移しており、2023年には日本の月間アクティブユーザー数が6700万人に達し、前年比で5.3%増加しました。

さらに、ユーザーひとりあたりの1日の平均滞在時間は他国に比べて39%長い43分、かつ1日に平均12.5回(インテージ調べ)もアクセスされるなど、日常的に頻繁に利用されるプラットフォームになっています。

2024年は生成AIと送金サービスの導入、動画プラットフォームとしての機能強化も進めます。X経由で様々な最新情報を調べられる対話型AI Grok(グロック)も日本語版を準備中。特別なスキルがなくても自然言語での検索精度が向上することで、バズをより手軽に捉えられるようになるなど、広告主にとってもメリットがあると考えています。

広告配信の安全性を広告主が確かめられるように

─今回、2社が協働してソリューションを提供するに至った背景は?

武田:Xさんとは2018年から協働しており、当初はディスプレイ広告や動画広告のフラウドとビューアビリティの品質認証からスタートしました。今回提供を開始したインフィード広告に関しては、2023年1月から英語圏の国ではすでに始まっていましたが、言語や文化が大きく違うことから日本市場への導入は時間がかかっていました。

しかしXは日本でとても人気の高いプラットフォームで、広告出稿のニーズも高く、X社側にとっても大事なマーケット。できるだけ早く提供したいと開発を急ぎ、2023年12月14日からの提供開始に至りました。

松山:タイムライン型のSNSはコンテンツの更新頻度が高く、話題も多様で、独特なコミュニケーション作法や文脈も存在します。そのなかで広告枠のブランドセーフティを担保し続けるため、具体的には広告枠の上下に表示される投稿に特定のキーワードが含まれないよう制御できる「隣接コントロール機能(ブランドセーフティ管理機能)」を2023年7月より導入。

また、動画や画像の内容を機械学習で分析し、3段階の安全性評価をもとに広告の配信面をコントロールする「センシティビティ設定」を提供しています。ただ、実際どの程度安全なのかは顧客自身の目で確かめてもらわないと納得してもらうことは難しいと理解しています。そこで今回、DV社と提携し、その安全性と透明性を第三者の立場で客観的に分析・検証できるサービスを提供することにしました【図1】

図1 Xとダブルベリファイの連携イメージ

Xで広告配信時に、DVの分析レポートを基に、ブランドセーフティ/スータビリティ(適合性)をチューニングしつつパフォーマンスの最大化を図る。

武田:導入企業様は、Xのタイムラインに表示される自社の広告すべてに隣接する前後の投稿との適合性を分析、検証することができます【図2】

図2 測定のイメージ

検証ではX上のコンテンツを「アダルト&セクシャル」「アルコール」など13種類のカテゴリに分類し、さらにそれらを3段階のリスクレベルで階層化した、当社であらかじめ用意した基準を活用。その分類に基づき広告配信面の上下の投稿を分析したレポートを、DVの管理画面で見ることができます。

配信全体でのブランドセーフティ・スータビリティのスコアや、適/不適と判断した個別の投稿とその内訳についても確認でき、広告主様にとっては、配信全体の成績を見ながら個別投稿も確認し「この投稿の前後には配信してもOK(or NG)」といった改善ができるのです。ブランドの安全性は担保しつつパフォーマンスを犠牲にしない、PDCAサイクルを回していくことが可能になりました。

─導入後の広告主の反応は?

武田:日本の企業や官公庁でもブランドセーフティに対する意識が高まっていますが、見る目の厳しい顧客からも想定以上にブランドセーフティスコアが高かったという声や、獲得等の成果数値と配信面の内訳を見ながら、改善に向けた議論が進んでいるという声をいただいています。

松山:Xは2023年7月に名称や一部の機能が変わり多少の懸念を抱いていた方もいらっしゃいましたが、自身で検証できる環境が整備されたことで安心感を得ていただいたように思います。ただし、Xとしても当然100%の安全性確保を目指す一方、現時点においては、配信場所を絞りすぎては、広告パフォーマンスへの影響が避けられないのも現実。

大切なのは、今回のDVさんとの取り組みのように、広告主が安心して投資判断できる健全で透明性の高い環境づくりを進め、広告主自身が許容できるレベルを見極め、それに合わせた線引きをしていくことではないでしょうか。

透明性を確保し投資判断のしやすいサービスへ

─最後に、今後の展望について教えてください。

松山:Xでは、言論の自由とセーフティの両立を目指していく方針です。今回のようにパートナー企業とも協力しながら、広告主が自身で配信面を判断・管理できるよう「透明性の確保」をテーマにより使いやすく、安心安全なプラットフォームを目指していきます。

武田:当社では、ブランドセーフティとブランドスータビリティ(適合性)を担保した上で、広告パフォーマンスをより可視化できる指標の提供にも取り組みたいです。Xの機能と当社の分析ソリューションを組み合わせることで、広告主がより目的に即した形で投資判断し、最適化を図れるようサポートしていくことが目下のミッション。今後も連携を深め、デジタル広告市場の発展に貢献していけるとうれしいです。

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