2010年代以降、様々なソリューションが登場したMA(マーケティング・オートメーション)だが、企業側の顧客データ戦略が進化する中、MAの活用レベルにも違いが出てきている。こうした状況を踏まえ『宣伝会議』編集部では、1997年からMA事業を展開しているHCLSoftwareと共に「宣伝会議 マーケティングサロンsupported by HCL Unica」を開催。本稿では、第1回研究会の概要をレポートする。
保有しているビッグデータを
どう統合し生かしていくか?
生活者のメディア環境やデバイスが多様化する中、技術的にも大きく進歩を遂げている各種ソリューション。一方で、部門間の連携や運用体制の構築、投資効果の説明や評価指標の設計など、企業の課題は山積している。
第1回研究会に参加したのは、ENEOS、学研ホールディングス、ファンケルでデジタルマーケティングに携わる3名。各社のMA導入・活用の実態について発表したのち、顧客理解と顧客への価値提供のために企業はどうデータと向き合うべきかを議論した。
通信販売事業を軸に成長し、現在オン・オフ様々な販売チャネルを持つファンケルと、教育・医療福祉の両分野で数百にも及ぶ事業やサービスを展開している学研グループ、そして全国に1万2000カ所超のSSを持つENEOS。長年の事業を通して既に大きな顧客情報を保有していることが、3社の共通点だ。
2014年以降のDX推進プロジェクトでCRM基盤の大規模な改修を行ったファンケルでは、次の課題として顧客起点での分析と活用を挙げる。佐藤氏は、誰もがデータにアクセスし顧客への理解を深めることができる「データの民主化」を進めていきたいと話す。
学研の福田氏は、グループ50数社のCDPによるデータ統合を実行。17事業をBIによって視覚化し分析、施策をプランニング。サービス単位でMAも運用することで、オンライン英会話事業では、新規加入者が1年半で2.7倍になったという。
またENEOSでは2022年7月にアプリをリリースし、現在CDPの構築を進めている最中。特約店とのデータ共有による収益改善や、ビジネス機会の創出を目指していると熊倉氏は話す。
業務や広告出稿の最適化だけでなく、顧客理解を踏まえたサービス開発や商品企画に生かしたいと口を揃える各社。HCLSoftwareの岩田氏は「柔らかい発想とテクノロジー双方の重要性を改めて感じた。引き続き現場の皆さんの話を伺いながら、事業成功のサポートをしていきたい」と締めくくった。
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