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電車の中のテレビ局、4月1日開局 自社で番組制作を行うjekiの試みとは?

ジェイアール東日本企画

ジェイアール東日本企画は2024年4月1日、「TRAIN TV(トレインティーヴィー)」を開局。これは首都圏JR主要10路線とゆりかもめの車両サイネージ約5万面を対象とする新たな番組配信プラットフォームだ。「TRAIN TV」登場による、車内広告の価値や今後の展望について、ジェイアール東日本企画に話を聞いた。

(左から)
コミュニケーション・プランニング局
プランニング第四部長 兼 交通媒体局 TRAIN TV事業部
ブランドマネージャー
中里栄悠氏

交通媒体局 TRAIN TV事業部長
佐藤雄太氏

交通媒体局 TRAIN TV事業部
中村 真氏

OOHの弱点「コンテンツ」を増強 電車だけのオリジナル番組を提供

ジェイアール東日本企画の推計によると、首都圏の生活者は生涯で約1万時間以上を電車の中で過ごしているという。

コロナ禍で敬遠された時期もあったが、通勤・通学やレジャーにと、電車は公共交通機関の要として絶対的な地位を築いている。それだけ身近な「電車に乗っている時間」に着目したのが“電車の中のテレビ局“として4月に開局する「TRAIN TV」だ。

ドア上や窓上部分など車内デジタルサイネージを介し、多様な番組コンテンツを発信する。同社交通媒体局TRAIN TV事業部の中村真氏は、「これまでトレインチャンネルやまど上チャンネル、サイドチャンネルとして展開してきたJR首都圏約5万面のデジタルサイネージを統合し、WebやSNSと連携した総合的な番組配信プラットフォームを構築します」と述べる。最大の変更点はそこで流されるコンテンツ。

TRAIN TVでは編成を大幅に見直し、全体尺の6割強を番組コンテンツに充てる。「いまだけ ここだけ 電車だけ」をスローガンに、オリジナル番組を配信、思わず視聴してしまう空間をつくり出すという。「メディアによるリーチに質が求められる中で、OOHの弱点だったコンテンツを大幅に増強した。スマホの普及で場所や時間に関係なくコンテンツに触れられるようになったが、だからこそ『電車でしか視聴できない』限定性はTRAIN TVならではの売りになるのでは」(中村氏)。

目指すは「令和の街頭テレビ」若年層の貴重なタッチポイントへ

ではTRAIN TVが提供する番組はどのようなものか。TRAIN TVブランドマネージャーの中里栄悠氏は、「『発見』と『ときめき』をキーワードに、人気芸人を起用したお笑いやグルメ、情報番組やドキュメンタリーまで、バラエティ豊かな番組を用意しています」と語る。

テレビの番組制作に精通するパートナーとの協力体制のもと、「テレビライク、テレビクオリティ」の番組を制作するという。TRAIN TVはその公共性から老若男女すべてをオーディエンスとして想定しているが、中でも若者世代は特に意識している。メディアが若者世代を捕捉することが難しくなった昨今、通学や通勤で多くの若者が1日2回利用する電車特有の強みを生かす狙いだ。

「若年層とOOHとの相性が良いことは前から言われていた。問題は彼らを振り向かせるコンテンツがなかったこと。そこで若年層を中心に幅広い層から支持を受けるアットコスメやTikTokなどのパートナーともコラボして番組を制作しています。また、スマホによるデジマで視聴前後をしっかりつなぎ、アテンションと口コミ拡散を同時に狙っていきます」(中村氏)。

「TRAIN TVは『ひとつの動画を皆で見る』という同時視聴体験を強力に生み出せるメディア。視聴後に学校や会社に行き、『今日のアレ見た?』と話題にしていただけたら良いなと。いわば『令和の街頭テレビ』のような存在になれたらいいですね」(中里氏)。

図 TRAIN TVが提供する映像体験

PDCAを回しながら全国展開も視野

「コロナ前の水準に戻りつつあるOOHは、TRAIN TVを通じて新時代を迎える。これまで出稿を控えていた広告主さまには、これを機に改めてご検討いただければ」と交通媒体局TRAIN TV事業部長の佐藤雄太氏は力強く語る。「私たちがはじめに確認したのは我々の顧客は誰か、ということです。

他のメディアは生活者と即答するでしょうが、OOHは必ずしもそうではないことに違和感があった。今回のTRAIN TVはオーディエンスファーストを徹底し、真のコミュニケーションメディアに生まれ変わる。電車という公共性や、音が出せないことなど、テレビとは勝手が違う部分もあるが、むしろそれを個性にして生活者に愛されるメディアを目指していきたい」(佐藤氏)。

首都圏でスタートするTRAIN TV。既に彼らはその先を見据えている。「TRAIN TVは、OOHの中でも特殊なポジションにある車内サイネージの生存戦略だと考えています。私たちと同じ課題感を持つ鉄道事業社さまと是非意見交換をさせていただきたいです。ネットワーク化なども一緒に考えられたらと思っています」(中里氏)。

「TRAIN TVは4月1日に開局し、生活者、広告主さま、広告会社さまの声に耳を傾け、クール単位でPDCAを回していきます。番組改編はもちろん、これまでのOOHでは考えられなかった広告商品も生み出したい。大きく生まれ変わるこのメディアに、期待と同時に意見を寄せていただけたらと思います」(佐藤氏)。

    お問い合わせ先

    株式会社ジェイアール東日本企画 交通媒体局 TRAIN TV事業部

    URL:https://www.jeki.co.jp/

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