受賞が非常に狭き門である「宣伝会議賞」。結果だけではない、プロセスそのものを次に生かすにはどうしたらよいのか。様々なキャリアを経て、現在第一線で活躍する審査員に、自身の応募経験も踏まえ話を聞いた。
Question
狭き門、胸を張っていいと思います。
私自身が応募していた時は「誌面に名前が掲載された!」というだけで舞い上がっていました(笑)。今や通過率約1%というほんとうに狭き門なので、一次でも通過された方は胸を張っていいと思います。もし、通過しなかったとしても、審査する上で惜しくも落とす場合もありますし、結果として受け止めることでいいかなと思ってます。
応募後、結果待ちの時期…。まずはその応募したコピーに関してはいったん忘れるくらいで。コピーライターとして仕事をしている方は、その目の前のお仕事をしっかりやっていく。結果が出てから、たとえばSKATなどで受賞作品や通過作品と自分が応募したコピーを比べて、どこが足りなかったのか、どこが良かったのか、などを分析してみるといいかと思います。
長くコピーを書いていると、自分なりのスタイルみたいなものが出来上がってくるんじゃないかと思います。誰かが見て「これ、〇〇さんのコピーでしょ?わかる」みたいな。それはひとつのゴールかもしれません。まずはゴールに向かって書き続けていくこと。そして「自分らしさ」を大切にするその一方で、自分のスタイルにこだわらず「まるで自分っぽくないコピー」を書いてみるなど、違うことや新しいことを試してくことも大切だと思ってます。と、私自身に今でも言い聞かせています。
楽しいと思えることが、一番のエネルギー。
賞に応募するのが苦手でした。なぜなら落ちるのが悲しいからです。「ほとんどの人が落ちるから、気にしなくて大丈夫」。わかっていても結局自分が落ちれば100%なわけで、やっぱりヘコむ。だからなるべく気にしないように、落ちたら遠くの空とか見たり、実家に帰って母のつくったおはぎを食べたりしてました。
自分の書いたコピーをいろんな人に見せるといいかもしれません。恥ずかしいですよね。私も恥ずかしかった。でも、いろんな意見を聞くと、意外と一人よがりの言葉だったのか、とか、そういう見方もあるんだっていうのがわかって、新鮮な気持ちになります。
ここでこういうことを言うのもどうかなと思いつつ、賞に一喜一憂せずに、楽しんで書きつづけることかなと思います。