屋外のみならず、各種施設内でも目にする機会が増えているLEDビジョン。OOHメディアとしての活用だけでなく、最近は店舗などの商業施設で設置するケースも増えているという。なぜ、今LEDビジョンの設置が進んでいるのか。さらに導入時のポイントとは。オールの春日信吾氏に話を聞いた。
日本はLEDビジョン後進国!?外資企業は国内でも積極活用
近年、新宿駅前に設置された幅45mのビジョンや、「新宿東口の猫」の3D広告が話題となった湾曲したビジョン、さらに北京オリンピック開会式の床ビジョンなど、様々な場所でLEDビジョンの活用が進んでいる。さらに公共の場だけでなく、ここ数年で進んでいるのが企業のロビー、商業施設、店舗などでの導入だ。
なぜ、今LEDビジョンの設置が進んでいるのだろうか。LEDビジョンを取り巻く環境について、オールの春日信吾氏は「LEDビジョンはもともとアミューズメント業界で多く活用されていたが、技術の向上によって、画質や耐久性、利便性が向上し、設置できる場所の幅が一気に広がった。さらに、価格も手頃になり、工事も簡単になったため、導入のハードルが下がったことも要因のひとつ」と話す。
また活用の場が広がることで、LEDビジョンはかつての「映像が流せるデバイス」以上の価値を持つようになってきているという。具体的には、空間を演出する手段としての活用が進んでいるのだという。
「例えば、店舗内に設置する場合でも、かつてののぼりやPOPの代わりのプロモーションツールとしての活用だけでなく、店舗における体験価値を高めるようなクリエイティブの工夫がみられるようになってきています」と春日氏。
また、路面店の中には、閉店後もLEDビジョンをオンにしておくことで、通行客へリーチするOOHとして活用している事例もあるという。
「実は日本はLEDビジョンの活用において後進国と言える状況です。中国やアメリカでは店舗の空間演出としてLEDビジョンの導入は当たり前の状況です。動的な媒体を取り入れることで、店舗に活気が付き、購買や来店を促すことができると認識されているからです。そこで国内においても、外資系の企業・ブランドはすでに導入を進めています。こうした事例が今後、日本企業にも広がっていくと予測しています」。
海外ではすでに「LEDビジョンの演出がない店舗=チープで活気がない」のイメージができあがっていると指摘する春日氏。そのため今後、日本でもアフターコロナでインバウンド需要が高まった際には、LEDビジョンでの空間演出の有無が、集客に大きく関わってくるという。
カスタマイズできる企画・実行力で 設置スペースに合わせた提案を
それでは、実際にLEDビジョンを導入する際には、どのようなポイントがあるのだろうか。春日氏によると、オールの場合には発注から設置までは最短で3〜6カ月ほど、費用は平均的に1平米50万円〜程度が必要になるという。ただし、設置場所やカスタマイズの内容によって、期間や費用は変わってくる。
というのも、海外では活用が進むLEDビジョンだが、日本では設置スペースなどの問題もあり、規格化した商品ではなく、カスタマイズして設置することが多い。そのため、ビジョンを設置する場所と用途に合わせた最適なものをつくる必要があるのだ。
「当社に相談いただくケースも、トラックの側面へ取り付ける変形型や、円柱に巻き付ける形の湾曲型など、決まった形はありません。設置する場所や用途をお聞きして、打ち合わせを重ねながら、形・サイズ・強度など細かくカスタマイズして企画、製造していきます」。
LEDビジョンを構成するキャビネットには、様々な種類があり、屋内用・屋外用など場所によって、使用するキャビネットが異なる。屋外用には日光に負けないよう輝度が高いもの、屋内用には衝撃があっても耐えられるような耐久性の高いものなどがある。
オールは、LEDビジョンの企画、製造、販売からメンテナンスまでワンストップで行う国内では数少ないメーカー。アジアのシリコンバレーと呼ばれる中国・深圳市に自社工場も持っており、多様なキャビネットを用意しているため、カスタマイズの要望にも柔軟に対応ができる。さらに、部品の在庫を国内に持っているため、修理対応なども迅速に行えるのが強みだ。
「意識されにくい部分ですが、LEDビジョンは購入し、設置して終わりではありません。維持していくために定期的なメンテナンスも欠かせません。当社はワンストップという強みを活かし、企画段階でどのようにメンテナンスや修理を行っていくか、も含めて設計します。このようなワンストップの体制で、LEDビジョンを初めて設置する企業にも安心して導入いただいています」。
さらに活用が広がる LEDビジョンの可能性
同社はこれまで合計3000平米以上のLEDビジョン導入実績をもち、交通機関・公共機関・商業施設・グローバル展開している小売店など、販売代理店経由で様々な業種業態へ納品している。具体例を挙げると、イオンレイクタウンの懸垂幕に見立てた両面サイネージや、新宿駅の横幅45mの広告ディスプレイなどがある【写真】。
「最近は、地方自治体からの問い合わせも増えています。地域のイベントなどでLEDビジョンが活用され始めており、常設で設置するのではなく、半年など短期間のみで設置して活用するケースが増えてきているのです。今後は地場の企業と連携し、地方の催事やイベントを盛り上げる一助としてLEDビジョンを活用してもらえる提案をしていこうと考えています」。
単に広告媒体としてだけではなく、空間の価値高める媒体として、役割が増えていくLEDビジョン。「新宿東口の猫」の3D広告事例もまさに新しい役割のひとつといえるだろう。今後も活用の仕方に注目が集まりそうだ。
株式会社オール
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