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「第36回 全日本DM大賞」受賞作品を発表!

全日本DM大賞事務局

企業から実際に発送されたダイレクトメール(DM)を全国から募り、優れた作品を表彰する「全日本DM大賞」(主催:日本郵便)。1987年から毎年実施し、今年で36回目を迎えました。応募総数710点から専門家による厳正なる審査を経て、見事に入賞を果たしたのは28作品。ここでは、最高賞のグランプリ、金賞、銀賞に輝いた3作品を紹介します。

金賞 グランプリ
コンセプトは「気軽に“カフェ”で相談」

  • 広告主:イムラ封筒
  • 制作者:イムラ封筒

新事業の認知拡大&新規獲得を実現したtoB向けDM

イムラ封筒は2021年、新たな事業として顧客のダイレクトマーケティングを総合的に支援するサービス「イムらと」を始動した。しかし、顧客からの同社のイメージは、封筒製造業者やメーリング事業会社というとらえ方が根強く、さらに、これまで封筒などの有形商材を主に扱ってきた営業メンバーも、顧客の課題を解決するという無形商材をいかに営業すればよいのかわからないとの課題があったという。そこで同社は、「イムらと」のサービス内容とブランドの認知拡大を行い、顧客獲得を目指すDMを実施した。

DMのコンセプトは、売り込まない無料相談所「イムカフェ」。DMの送付先となる通販を主な事業とする未取引企業や既存顧客のマーケティング担当者が抱えている、ダイレクトマーケティングの課題や悩みを、気軽に無料で相談できるカフェがオープンしたという設定で全体を設計した。

封筒はカフェの外観をモチーフにデザイン。表面の窓の部分は中がすりガラス風に透けて見える特殊窓とし、窓部分の封筒内側にポケットを設け、特製のドリップコーヒーとコースターを入れた。ドリップコーヒーの袋に印刷された、コーヒーを飲みながら談笑している人の姿が、特殊窓のすりガラスから見える仕掛けだ。

また、メンバーが企画から印刷まで丁寧に顧客に向き合いサポートするという「イムらと」の特徴を表現すべく、メンバーにフォーカスしたチラシを作成。メンバーがカフェ店員風のユニフォームを着て、思い思いのポーズをした全身写真を掲載した。メンバーのメッセージや趣味などを記載した個別ページもそれぞれ作成し、チラシのQRコードから遷移できるようになっている。

DMを受け取ったマーケティング担当者からは「こんな幅広いサービスを展開しているとは知らなかった」「面白いDMがつくれるんですね」といった感想と同時に、DMに使った封筒や仕掛けを活用したいという問い合わせも寄せられた。新規顧客も4件獲得。同社顧客はLTVが高いため、今回のDMによる顧客開拓は大きな成果となった。

封筒(左)の窓から見えるのはコーヒーのドリップパック(右下)で、コースター(右上)も同封して送付された。

DMコンセプト「イムカフェオープン」に合わせ、封筒は店舗外観、サービス内容はメニュー風、メンバーはカフェ店員と、DM全体をすべてカフェの雰囲気で統一した。

金賞
直接会えない期間、お便りとして届けた『一澤だより』

  • 広告主:一澤信三郎帆布
  • 制作者:一澤信三郎帆布

社員・職人総出で誕生した手づくりDM

1905年の創業以来、職人による「手間ひまを惜しまない」ものづくりを行ってきた帆布かばん店「一澤信三郎帆布」。「顧客の顔の見える商い」を心掛けてきた同社だが、店舗が京都に1店舗のみであることから、コロナ禍により顧客とのコミュニケーションが減少。そこで、疎遠となってしまった顧客に向け、「私たちは元気にやっています」「お客さまもお変わりないですか?」との思いを込めた“お便り”を送る気持ちで、冊子『一澤だより』を制作した。

『一澤だより』は本文・表紙含めて全12ページのオールカラー。社長コラム、新作製品の提案、職人が綴った文章、京都散策マップなどで構成されている。

企画から記事執筆、写真撮影、誌面デザイン、さらには封入、郵便局への持ち込みまで、すべて自社の社員・職人総動員で行った。

結果は、通常より注文数が大幅に増加。DMが届いた顧客から「一澤だより、ありがとうございます。届いたときは嬉しく、気持ちがパッと明るくなりました」「今年はなんとかして京都へ行き、お店に行きたいと思っています」など、数十通のお礼の手紙や葉書が届いたという。

銀賞 審査委員特別賞 データドリブン部門
顧客単価を下げる!親切DMでプラン変更率13.1%

  • 広告主:ソフトバンク
  • 制作者:凸版印刷

メッセージの出し分けで行動を喚起し、LTVの向上を証明

銀賞・審査委員特別賞データドリブン部門のダブル受賞となったのは、ソフトバンクのスマートフォン「料金プラン変更」に関するDM。通常、顧客単価を上げることが企業にとって命題であるが、本DMでは、月々の支払額を“下げる”提案により顧客単価は下がるが、満足度を上げることで解約阻止につなげLTVを向上させるという、新たな挑戦であった。

緻密なターゲティング戦略のもと、既存顧客に向けて通信容量や料金面がおトクになるプランへの変更を促す内容を送付した。現在利用中のプラン・家族割への加入人数に応じて、おトクになる金額ごとに紙面を7パターン作成。一般的な話や、最新プランのスペックではなく、「あなたの場合は〇〇〇円おトクになる」というメッセージがダイレクトに刺さるよう、クリエイティブは極力シンプルにした。

ターゲットによってメッセージを出し分けることにより、受け取った顧客が自分ゴトとしてとらえやすく、開封や行動を促進。その結果、DMを送付したグループのプラン変更率は、メールのみを送付したグループの2倍以上となり、2カ月後の解約率も低下した。

優れたレスポンスのDM具体事例を分析!戦略、クリエイティブ、効果を読み解く

幅広い業種のDM成功事例を解説。「toB向け」のメッセージで顧客を開拓した事例、Webとの連携で相乗効果を生み出した事例、コロナ禍でのインナーに向けた事例など。DM制作の実践に役立つ1冊。

【事例で学ぶ】成功するDMの極意 全日本DM大賞年鑑2022
判型 A4判
頁数 96ページ
定価 1,980円(税込)
発行 宣伝会議
編集協力 日本郵便
発売 4月13日予定
ISBN978-4-88335-554-9

    お問い合わせ

    全日本DM大賞事務局(株式会社宣伝会議内)
    URL:https://www.dm-award.jp/
    TEL:03-3475-7668
    E-mail:info@dm-award.jp

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