コロナ禍において、休業を余儀なくされたスポーツクラブ。反面、オンラインのフィットネスサービスが続々と世に出るなど市場競争は激化している。その中で、40万人を超える会員を持つルネサンスは店舗を運営する企業としてどう動くのか。
ヒト×ITを掲げ スタッフ介した関係性づくりに注力
ルネサンスは、4月8日から順次、5月31日まで、一部リハビリ施設を除き同社が運営するスポーツクラブ、スタジオなど全145店舗の休業を決断した。これまでは定期的に会員と、リアルな場で接点を持つことができたルネサンスだが、休業期間中も関係性を維持しようとオンラインでのコミュニケーションを強化している。
具体的には同社の公式YouTubeチャンネル「ルネサンスチャンネル」や、会員限定アプリ「Myルネサンス」では5月31日までの期間限定で、フィットネスやヨガ、自宅で簡単にできるストレッチ動画などを無料配信。ユーザーとのつながりを絶やさないためにFacebook公式アカウントや、店舗スタッフが運営する各店舗のブログも積極的に更新しており、自宅でできる運動など、さまざまな情報を会員へ届けている。
スポーツクラブに通うことが習慣化している会員も多い。そこで休業期間中も、会員からは、「早く店舗に行きたい」「営業が再開したらすぐに行きます」など、励ましのメッセージも届いているという。
同社で営業企画部部長を務める落合浩二氏は「休業期間中にも関わらず、お客さまからメッセージをいただけるのはありがたい。40年間にわたり、地域密着型でビジネスをしてきたことが、お客さまとの関係性につながったと考えている」と話す。
さらに「現在、スポーツクラブをはじめとしたフィットネス事業では“ヒト×IT”の方針を掲げ、さまざまなサービスを展開しています。デジタルを強化していく上でも、お客さまとのリアルな接点は重要であるため、常にお客さまとの関係性を念頭に置いて企画。また、創業時から『あなたがいるからルネサンスにいく』と言っていただけるようなお客さまとの関係づくり(エンゲージメント)にスタッフ一人ひとりが注力してきました。店舗ブログの積極的な活用もそのひとつです」。
顧客満足を高めるため従業員満足度の指標も重視
このような取り組みは、「外出自粛の影響を受けた休業中における一過性の取り組みではない」と落合氏は続ける。同社が“ヒト×IT”を事業方針に掲げる背景には、フィットネス業界の競争激化がある。
近年、フィットネス業界では日本全体の健康意識の高まりともに、顧客の二―ズが変化。従来型のスポーツクラブだけではない、新しい業態が登場。それに伴い、新しいゲームチェンジャーの参画が活発になっている。このような状況においても、ユーザーに選ばれる存在であり続けるためには、エンゲージメントの構築が欠かせない。そのために...