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宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本

マスでもデジタルでもつくり方は変わらない 暇な時間が「贅沢になる」広告をつくる

泉田 岳氏(太陽企画TOKYO)

今月のテーマ:テレビやWeb、チャネルが広がる現代
映像広告のクリエイティブディレクション

以前は「映像広告」というとテレビCMが主流でしたが、現在は動画サイトやSNSで流れるWeb CMも増えてきています。それでは、どちらも「映像広告」ですが、クリエイティブの使い分けやディレクションに違いはあるのでしょうか。広告主の視点と、動画制作クリエイターの視点から「映像広告」について解説します。

    映像広告におけるクリエイティブのポイント

  • 映像広告は「メディア」によってではなく、「ターゲット」と「メッセージ」で変わる。
  • 「商品のプロ」「広告のプロ」「映像のプロ」で、企画を映像に合わせてチューニングしていく。
  • 共感を生み感情を動かす広告には、商品の強みだけでなく、弱みも盛り込んだほうがカワイイ。

「広告のプロ」と「映像のプロ」 より良い映像にするチューニング

まず、僕の生業としている映像制作の仕事を説明したいと思います。

僕たちのような映像制作会社は、「広告会社の方から依頼を受けて仕事をする場合」、「直接広告主から請け負って仕事をする場合」などさまざまなパターンがあります。僕が担当する仕事体系の多くは前者ですが、その場合、広告主が広告会社にオリエンを行います。そのオリエンを受け、広告会社のクリエイティブの皆さんが企画にまとめ、その企画の映像制作を依頼されます。

広告会社は広告主の依頼に対し作品の全体的な方向性、見え方、戦略など提示し、プロジェクトを指揮、統括してくれていますが、僕の仕事はその広告作品の中の一角である「映像」をいかに良くしていくか、という部分を担っています。「商品のプロ」である広告主の皆さんがつくった商品に対し、「広告のプロ」である広告会社がクリエイティブの柱を立ててくれます。そこで僕たち映像制作会社は「映像のプロ」としていかに効果的な映像をつくれるか考えながら、映像のプランをまとめていきます。

映像のプランは広告会社のクリエイティブの方々に提案し、最も効果的な表現を、意見交換をしながらつくり上げていきます。さまざまな得意分野を持つ人たちが、ひとつの方向を見て広告をつくれるように制作進行や品質を管理することも映像制作会社の仕事のひとつだったりします。

企画に行きついた経緯から広告主の温度感を知る

広告主の方々からいただいた課題をチューニングしながら作品として詰めていく作業の中で、僕個人として大切にしているのは、広告主と広告会社の間でどのようなプレゼンが行われたのか、どのようにして最終的に実施する企画案に確定したのか、そこを知ることです。

僕に依頼が来る前の段階の話、決まった企画にたどり着くまでに、何十案という企画が精査されているわけですし、通った企画だけを見て判断するのは実は恐ろしいことなのではないかと思っています。通らなかった企画案の内容やその企画がどうして選ばれなかったのか、またどこが悪かったのかを知ることで、避けたほうが良い方向性などもわかってきますし、何より広告主の皆さんの温度感を自分で理解することができます。

事前に確認が取れている話だと思いますが、もし撮影現場で広告主の方が、絵コンテで見ていたものと違うなと思うところがあったり、不明点や疑問点があったりしたら、聞いていただきたいです。カットにはすべて意味がありますので、質問してもらえればできるだけ説明させていただきます。

映像広告として求められることはマスでもデジタルでも変わらない

僕の場合、映像ディレクターとして、テレビCMかWeb CMかの違いで特につくり分けはしていません。確かに世の中の流れとして「TV離れ」や「Web利用率の増加」はよく耳にしますが、ひとつの広告としてしっかり成り立たせるために最適な広告映像を提案するという価値観はどのメディアでも変わらないと思いますし、マスでもデジタルでもつくり方は変わらないです …

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