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言葉とコミュニケーションの技術

怒れない上司や先輩が増えると、「言葉」の本が売れるというカラクリ

編集部レポート

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『伝え方が9割』は、3月の発売から日が経過しているにもかかわらず書籍の総合ランキングにランクインするほど売れ続けている(撮影協力:ブックファースト 渋谷文化村通り店)。

「言葉」関連の書籍がヒット

2013年に入ってから、ビジネス書の領域で「言葉」に関連するヒット本が目立つ。例えば、ダイヤモンド社が今年3月に発刊した『伝え方が9割』は、7月に33万部を越えた。そのほかにも、話し方、しゃべり方といったタイトルの本が多く出版されている。

その理由を書籍のプロデュースを数多く手がけてきたアップルシード・エージェンシー 代表の鬼塚 忠氏は次のように話す。「インターネットさらにはSNSが浸透し、企業もそして個人も情報を発信する機会、言葉を扱う場が増加。ビジネスパーソンがソーシャルメディアを使い、短い文章で多くの人とコミュニケーションすることが増え、『言葉』を使う技術やノウハウに注目が集まっていると思います。これまでは、文章の作成を外部の専門家に発注していた企業も、案件が増えたことにより、現場の社員が行う必要に迫られています。そのため、ビジネス書として『言葉』に関連した書籍が増えているのではないでしょうか」。

しかし、一方で鬼塚氏は「言葉に関する書籍が、ここ数年で劇的に増えたわけでもない。実用書のカテゴリでは、以前から言葉に関する本は多数出版されていた」とも続ける。

それでも、ビジネスパーソン向けに言葉の使い方を指南する本が目立つのは、そもそものビジネス書自体の刊行点数が増えていることが背景にある。「2000年以降、複数の出版社がそれまではあまり多くなかった『ビジネス書』というカテゴリで、多くの書籍を発刊するようになりました。以前は会社で上司や先輩から厳しくしつけられ、学んでいたことも、最近では注意するとすぐにパワーハラスメントと言われてしまうこともあり、怒れない上司や先輩が増えています。厳しく注意されることが少なくなったため、その人自身がビジネス書を読んで、仕事におけるスキルを身につける必要が出てきたのです。こういった要因を背景に、10年足らずでビジネス書のマーケットは拡大しました。きちんと指導されなくなったものの、昔から現在に至るまで、言葉や文章術が必要であることは変わりません」(鬼塚氏)。

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