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大学広報ゼミナール

専門家が話題の大学広報ドラマを考察、他人事ではない「今ここにある危機」

谷ノ内 識(追手門学院大学)

2021年4月24日から5月29日にかけて5回連続で放送された、大学の広報マンが主人公のNHKドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』。本誌の読者の多くはご覧になったのではないでしょうか。

本連載24回目ではこのドラマを取り上げ、大学職員の情報発信の話題へと展開したわけですが、主人公の神崎真の経歴が筆者と重なる部分が多かったことから個人的にも興味を持っていました。

初回放送開始前の4月2日に、追手門学院大学のオウンドメディア「OTEMON VIEW」でも、大学広報の世界を知ってもらおうと、その定義や仕事内容、それに採用などに関するまとめ記事「『ほぼ神崎真』が見た『大学広報』とは」を掲載したのですが、開設して1年たたないサイトであるにもかかわらず月間5000人の閲覧(1記事1ページのためPVとUUがほぼ同じ)があり、関心の高さを実感しました。

放送が始まると朝日新聞の記者から「ドラマをどのように見ているのか話を聞かせてほしい」と取材依頼があり、「現場というよりは広報を研究する側の視点も入れて良いですか」ということで説明した内容の一部が、6月3日付朝日新聞withnewsサイトに掲載されました。記事のとおり最終的に現場寄りの話が中心になったのですが、せっかくなのでこの時、研究者視点で考察した内容をまとめたいと思います。

5月、大学広報の専門家としてドラマをどう見るか、朝日新聞から取材も。6月3日付朝日新聞withnewsサイト上に記事が掲載された。左が筆者。

研究者視点で話題の広報ドラマを考察

前提として、ドラマ自体は大学の広報に特化したものではなく「大学から世間の縮図を描いたブラックコメディ」です。すでに多くの方が、ドラマが風刺する現代社会の闇や大学を取り巻く様々な課題について紹介しており、筆者はあえて広報に寄せて考えてみました。

まずドラマ全体を通してのまとめです。広報の専門性や位置づけに対する社会的認知が十分とはいえない現状(広報=広告とか情報発信のみ)で、旧態依然とした組織(ドラマでは国立大学)と第3話29分30秒頃の水田理事のセリフ「世間は思ってくれない」に象徴される複雑な現代社会との間で板挟みになるという広報担当部署の苦悩を上手く描写していました。これは別に国立大学に限ったものではなく、多くの広報担当者が経験するいわば構造的な問題です。

広報活動・業務への理解不足は、体系化された広報教育の場が不十分であることに一因があると考えられ、学界でも以前から話題に上がっています。しかも新卒一括採用、ジョブローテーションによるゼネラリスト人材の育成傾向が依然として強いわが国では、専門性の高い広報人材の登用の場は限られており、二重の悩みを...

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