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大学広報ゼミナール

激変! 志願者ランキング 志願者減の意味を考える

谷ノ内 識(追手門学院大学)

2021年度入試は、2020年度(2020年4月1日~2021年3月31日)中に実施した2021年4月入学者向けの入試のことですが、コロナ禍と大学入学共通テスト導入初年度という歴史的な出来事が重なり、各大学とも最後まで予断を許さない状況が続きました。私立大学の中には合格者を元にした入学者の割合、いわゆる歩留まり率が読めず、3月末まで追加合格を出して入学者を確保する大学も見られました。

この前例のない1年の大学入試の結果はすでに様々な専門家や評論家が分析しているところですが、その前の年の段階で大学共通テストを嫌って現役合格にこだわる層が一定数いたことから、2021年度入試は前の年より浪人生が減少し、受験生全体数自体も少なくなる中での入試となったのも事実です。

コロナ禍も志願者数減に拍車

2021年4月19日付朝日新聞朝刊によると、学部系統別では就職に強いとされる医療系の人気が高かったほか、資格系や理工系も堅調だったとのことです。一方、コロナ禍で海外留学の再開のめどがたたないことを背景に、国際・外国語系は志願者を減らし、経済環境の悪化が続くとの懸念から経済、経営、商などの学部も不人気だったと分析しています。

2021年4月9日に筆者が直接取材した、教育情報会社の大学通信常務取締役の安田賢治氏はさらに詳細に分析しています。それによると、初実施だった2021年1月の大学共通テストについては、志願者が53万5245人で、浪人生受験の減少により2020年のセンター試験より2万2454人、率にして4%と過去最大の減少になったということです。そして国公立大学については先行き不透明なコロナ禍による地元志向、安全志向が見られ、東京大学、京都大学、大阪大学など最難関国立大学は志願者が減少したとのことです。

では筆者の追手門学院大学を含めた私立大学はどうだったのか。大学共通テスト後、3月までに実施され入学難易度(偏差値)の基準となる一般入試について安田氏は、「志願者全体が前年と比べ、戦後最大となる12%減少した」と分析しています。主な理由として、少子化に伴う高校卒業者数が前年より約2.6%減少したこと、浪人生が約2割減少したこと、コロナ禍による大都市圏での受験併願校数が減ったことなど大学外部の環境変化を最初に挙げています。

続いて、これもコロナの影響で、2020年中に進学先を決められる指定校推薦入試や公募制推薦入試など大学業界で「年内入試」と呼ぶ入試への受験生の人気が高く、大学側も多めに合格者を出したことを挙げています。このほか、大学自らの取り組みとして、入試制度の見直しが良い方向に働いた大学とそうでなかった大学とを分けるポイントにもなったと...

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