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大学広報ゼミナール

感染者情報との対峙 大学広報に求められること

谷ノ内 識(追手門学院大学)

2021年3月は、コロナ禍の兆しが感じられ各大学が卒業式にあたる学位授与式や入学式の中止や縮小を打ち出した時期からちょうど1年にあたります。今回は授業の状況や新型コロナウイルス感染者情報の取り扱いについて、筆者なりに広報的視点から振り返ります。

追手門学院大学では、秋学期対面授業再開にあたり、感染防止のための水際対策を実施。(2020年9月14日撮影)

社会の関心に合わせ露出度UP

2020年4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大して出された後に文部科学省が4月23日の時点でまとめた調査によると、遠隔授業を中心に例年どおり春学期を開始すると回答した大学は追手門学院大学を含めて86校でした。これに対して延期した大学は662校に上りました(図表1)。延期した大学はその後遠隔授業に向けた準備を進め、緊急事態宣言が解除された後の6月1日の時点では、3大学を除くほぼ全ての大学で授業が実施されました。

図表1 大学授業開始に際しての対応状況(2020年4月23日16時時点)
注1)表中の割合は、回答があった学校数を母数として集計している。
注2)設置種別の割合は各設置種別の回答数を母数としている。
注3)回答率は、高等専門学校を含めた全1180校を対象に算出しており、約68.1%。
注4)公立大学・私立大学には、それぞれ短期大学を含む。

出所/文部科学省HPから大学部分を抜粋

この間の広報活動のテーマは「コロナ禍での教育・研究活動の継続をいかにサポートするか」というもので、新入生をはじめ在学生向けに各種手続きや遠隔授業の準備や財政支援の連絡、自宅学修を余儀なくされた学生を励ますメッセージなど、学生とのリレーションを図るものが多かったように思います。

一方、メディアを中心に社会一般の関心ごとは、「遠隔授業とはどういうものなのか」「遠隔授業に伴う学費の扱いはどうなるのか」「クラブ活動や公式戦はどうなるのか」などで、これに対して各大学はプレスリリースやホームページを通じて対応策を発信していきました。筆者らも4月にスタートしていた遠隔授業やオンラインクラブ活動、テレワークの状況を「学びの継続のための取り組み」としてすぐにプレスリリースし、全国紙はじめ各媒体に取り上げられました。

その時節に合わせた対応方針を

遠隔授業が定着した6月以降は政府からの新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動基準を参考に各大学が独自の基準を定め、感染防止策を講じながら対面授業やクラブなどの課外活動の再開を...

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