本物のサステナビリティ経営で企業はどう変わるのか、広報の役割は?
社内に散らばる既存の取り組みを寄せ集め「サステナビリティ活動」と体裁を整えアピールするだけに留まっていないだろうか。環境や社会に配慮したビジネス構造を根本から見直し、サステナビリティを利益につながる事業の本丸とするために、広報ができることとは。
SDGs実践! 経営変化と企業コミュニケーション
SDGs制服を開発した明石スクールユニフォームカンパニー。その特徴はリサイクルを通じて制服からまた別の衣服へと循環が可能な点だ。学校から採用されるのみならず、メディアからも多くの反響があった。
明石スクールユニフォームカンパニーのSDGs特設サイトのトップ画面。
DATA | |
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創業年 | 1865年 |
広報人数 | デジタルマーケティング室(8人) |
▶SDGs制服を開発。「服から服へ」の資源の循環がネックだったが、それを他社とのコラボで解決
▶制服を通じ、学生にSDGsへの理解を促す、という姿勢。製品自体だけでなく配送方法にも配慮し、学生の同社への関心も促す
▶SDGsを起点に、メディア露出の拡大から商品開発、採用にまでつなげている
明石スクールユニフォームカンパニー(以下、明石SUC)は2019年、SDGsに貢献する制服(SDGs制服)を開発。これは、児童・生徒が在学期間中に制服を買い替えることがないよう3年間、もしくは6年間着られる耐久性を保持しつつ、卒業後は制服からまた別の衣服へのリサイクルが可能な点が特徴だ。
そもそも「制服」は“無駄の少ない”衣服だ、と語るのは同社経営企画室の河合一樹氏だ。その理由は、①3年間、もしくは6年間毎日着用できる機能性と耐久性を備えていること、②次年度の入学者数を見越して必要とされる着数を計画的につくるため、廃棄が少ないからだ。それらに加えて、制服をSDGsの視点と共に打ち出せないか、と悩んだ。そこで、日本環境設計というリサイクル事業を行う企業の新しい取り組みに着目した。
「従来のリサイクル方法は、『マテリアルリサイクル』といって、衣服を機械などで裂いて繊維に戻し、自動車の内装材や緩衝材、ぬいぐるみの中綿などに使われるのが一般的でした。しかし、日本環境設計さんがこのほど開発した『ケミカルリサイクル』は、ポリエステルやウールなど、ひとつの衣服に様々な素材が混ざり合っているものをそれぞれの素材ごとに化学的に分けていくことができます。その結果、ポリエステルはポリエステル、ウールはウールに戻すことができ、特に...