本物のサステナビリティ経営で企業はどう変わるのか、広報の役割は?
社内に散らばる既存の取り組みを寄せ集め「サステナビリティ活動」と体裁を整えアピールするだけに留まっていないだろうか。環境や社会に配慮したビジネス構造を根本から見直し、サステナビリティを利益につながる事業の本丸とするために、広報ができることとは。
SDGs実践! 経営変化と企業コミュニケーション
P&Gジャパンは5月、LGBTQ+の人たちへの理解を深める「アライ育成研修」を開発した。これも、SDGsの「誰一人取り残さない」というの理念に通ずる施策だ。編集部では、このアライ育成研修開発に至るまでの経緯について担当者に話を聞いた。
社内研修の様子。オンライン開催で、講師は同社の中でも特にインクルージョンに精通した社員や執行役員が担当する。
DATA | |
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創業年 | 1973年 |
広報人数 | 非公開 |
▶2019年に取り組みの停滞感からの脱却を目指し、重点課題を明確化
▶社内のみならず、社外にまで研修を広げ、社会全体への啓発を行う
▶研修という座組みを通じ、マジョリティを巻き込んだ環境づくり
「アライ」は、理解者・支援者を意味する。P&Gジャパンが開発したLGBTQ+アライ育成研修は2部構成で、前半は座学でLGBTQ+への理解促進を行い、後半はワークショップ形式で、アライとして何ができるかなどを考える。全社員を対象にする他、ウエルシア薬局、神戸市にも無償提供する予定だ。
同社では2020年9月、ヘアケアブランド「パンテーン」で広告キャンペーン「#PrideHair」を展開。LGBTQ+層の就活での悩みをテーマにしたテレビCMなどで話題となったのも記憶に新しい。
多様性推進に積極的に取り組む同社だが、このアライ育成研修の開発にはどのような背景があったのか。同社執行役員広報渉外本部シニアディレクターの住友聡子氏に聞いた。
同氏によると、本施策の大本には、「インクルージョン(包括、多様性を受け入れた状態)」というグループ全体で目指すべき姿、そして経営戦略「イクオリティ&インクルージョン(E&I)」がある。
そして、グループ全体で「インクルージョン」を推し進める上で、各リジョンで重点課題を定めた。日本は、「ジェンダー」「LGBTQ+」「障がい者」の3本柱だ。そして、その中で2020年から特に集中して取り組んでいるのがLGBTQ+だという。
そのきっかけとなったのが...