本物のサステナビリティ経営で企業はどう変わるのか、広報の役割は?
社内に散らばる既存の取り組みを寄せ集め「サステナビリティ活動」と体裁を整えアピールするだけに留まっていないだろうか。環境や社会に配慮したビジネス構造を根本から見直し、サステナビリティを利益につながる事業の本丸とするために、広報ができることとは。
SDGs実践! 経営変化と企業コミュニケーション
サステナブルを経営課題に置いたプロジェクト、商品開発に先駆的に取り組んできたアディダス。2021年は競合にもあたるオールバーズや、世界的なキャラクターとのコラボレーションも次々発表。サステナブルストーリーを伝える上でこれらのコラボレーションの意味とは?
2021年1月に「スタンスミス」にリサイクル素材を使用することを発表。コレクションでは、ディズニー、ピクサー、マーベルのグリーンなキャラクターたちがデザインされ、サステナブルな新スタンスミスを表現した。
DATA | |
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創業年 | 1998年 |
広報人数 | 非公開 |
▶サステナブルを理由にパフォーマンス、デザイン性を顧客に我慢させない
▶企業理念「スポーツを通して、私たちには人々の人生を変える力があります。」を体現する、「走り」などスポーツ活動とひもづけたコミュニケーション設計
▶ブランドの方向性は親近感のあるキャラクターとのコラボや、スポーツでのパフォーマンスで、直感的に伝わる魅せ方に
アディダスのグローバルパーパス「スポーツを通して、私たちには人々の人生を変える力があります。」このパーパスを体現していく上で、サステナビリティが企業活動の根幹になるのは必然だったと、ブランドコミュニケーション西脇大樹氏はいう。「スポーツをされる方、応援される方、ファッションとして楽しまれる方、そしてお取引様⋯⋯様々なステークホルダーに、私たちが幸せな人生を提供していくためには、地球にとってより良い製品を生み出していくことは必須。そこに取り組まなくてはいけないという課題感は早くから抱いていました」。
2015年海洋環境保護団体パーレイとのパートナーシップを発表し、その姿勢はサステナブル経営の先駆けとして、世界中に認知されることとなった。
同社が活動を行う上で意識している点。それは商品のパフォーマンスやファッション性を顧客に我慢させない、妥協しない商品開発の部分だ。「地球環境に良いことを言い訳にパフォーマンスが十分でない、デザインにトレンドが取り入れられていないとなると、当たり前ですが人の手は伸びないんです。そうすると結局私たちの活動や想いも広がっていかない。広報する上でもパフォーマンスの保証やデザイン性は丁寧に伝えるようにしています」。
まだ、サステナブルへの認知が低かった取り組み開始当初は...