報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
日本経済新聞社『日経ヴェリタス』編集部DATA | |
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『日経ヴェリタス』は、日本経済新聞社が発行している、週刊の投資金融情報専門紙だ。個人投資家を主なターゲットに、マーケットを通して世界の動きを「先読み・深掘り」する記事を掲載している。
2020年3月29日号から紙面を大幅刷新。すでに資産を築いている投資家だけでなく、これから金融資産を形成していくことが望ましい20~40代の若い読者も意識した紙面づくりへとシフト。紙媒体のみならず『日本経済新聞 電子版』などのデジタルコンテンツも強化している。
紙面改革でESG面を新設
「新しいトレンドの先読みや深掘りは、以前と変わらず力を入れています」と語るのは、4月に新編集長に着任した塚本奈津美氏。2019年6月に話題になった金融庁の「老後資金2000万円不足問題」も、日経ヴェリタスでは1~2年ほど前から「人生100年を見据えた資産形成」の重要性を説いていた。2020年3月の紙面刷新では、新たな時代に対応した投資情報をさらに拡充している。
紙面改革のひとつとして、環境・社会・企業統治を重視するESG面を新設。短期的な利益を追求するだけでなく、社会の持続に寄与する公益性を重視する企業に投資する「ESG投資」はこれまでも注目されてきたが、今回新たにページを設けた。
また、グローバル面も内容を拡充し、グローバル化する銘柄選びに対応。「これまではアジアの株を中心に取り上げていましたが、対象をグローバルに広げ、世界の中で注目企業を発掘・分析しています」と塚本氏。国内の記者だけでなく、世界中に張り巡らせた取材ネットワークを駆使した紙面づくりができる点も大きな強みだ。
日経ヴェリタス編集部は、塚本編集長以下、デスク5人という構成。特集テーマに合わせ、日本経済新聞の記者や専門知識を持った編集委員に取材を依頼しているという。フロント企画は発行日の2~3週間前には内容を固めつつも、マーケットの動きに合わせ機動的に修整しながらつくり上げていくという。
「紙面が発行されるころには、どういう状況でどういうマーケットになっているのか、仮説を立てて議論をします。外れてしまうこともありますが、“そのとき”読者が読みたいと思うものは何かを予測しながら進めています」と塚本氏。
ARを駆使した紙面展開
日本経済新聞社全体の取り組みとして、特筆すべきは...