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働きがいと環境づくり

事故を機に生まれ変わった宮田運輸「従業員を『人』として見る」その経営とは

宮田運輸

大阪を中心に全国12の事業所を展開する宮田運輸。今や求人倍率100倍をほこる企業だが、かつてはそうではなかった、と指摘するは同社社長の宮田博文氏。とある事故をきっかけに生まれ変わったという同社。一体何があったのか。

「こどもミュージアムプロジェクト」の一環で、子どもの絵と写真がラッピングされたトラック。これを見た運転士は、「急いでいるときも、安全運転でいこう」と思える。

1967年創業、従業員数は約300人(2020年9月時点)、「人と人を繋ぎ、幸せを運ぶ運送会社」を標榜する宮田運輸。2012年に同社の社長に就任した宮田博文氏は「“心”をベースに従業員と接するよう心掛けている」と取材冒頭から話し、従業員満足を重視している印象を受けた。

しかし今の経営方針は、とある事故をきっかけにして生まれた。7年前、2013年8月、同社のトラックとバイクが接触事故を起こし、バイクに乗っていた男性が死亡したのだ。「当時、トラックを運転していた従業員はドライバーではなく配車係でした。しかし、事故当日、人手が足りないところに、追加の運送の依頼が舞い込み、もともとドライバーだった彼が自主的にトラックを出してしまったのです」、宮田社長は述懐する。

実は事故以前、利益や数字を追求するあまり、社員を叱責することも少なくなかったという。「2012年の社長就任直後、『25年後の70周年には売上高300億円、従業員数2000人規模の会社に成長させる』と目標を立てましたが、(順調にいかず)焦っていました」。その焦りや態度が、事故を引き起こした原因だと考えた社長は、「従業員を単なる“人材”ではなく、(代替のきかない)一人の“人間”として扱う、そういう方針に切り替えたのです」。

新たな経営に向け舵を切った社長は、その後、数多くの施策を展開。その代表例を紹介する。

職場環境を改善させた施策

ひとつが、LINEグループ「みやたのなかま」だ。全国の事業所の管理職・チームリーダー30人が、困ったときにSOSを出し合えるよう“場”をつくった。「悩んだ時は一人で抱え込まず、どんな小さなことでも相談するように、との意図から『困ったときは大騒ぎ』を合言葉にしています」。同グループは、4月の緊急事態宣言下にも役立った。配送依頼が大阪事業所に集中し、手が足りない事態に。同事業所の職員がLINEで助けを求めたところ、名古屋や岡山から複数人が駆けつけた。

さらに、社内環境改善で大きな成果を果たしたのが...

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