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企業の強みを象徴的に伝える 「シンボリック・ストーリー」の磨き方

岩井琢磨(大広 コミュニケーション戦略プランナー)

他社との競争から抜け出す会社と、そうでない会社。その差は「物語」にある。ストーリーの力は広報の成否に留まらず、企業の競争をも左右する。

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©Shevel Artur/Shutterstock.com

「個人のメディア化」「ビジネスモデルの同質化」が背景に

市場で独自の地位を築いている企業は、強みを象徴する物語を持っている。例えば、ボルボの「シートベルトの物語」。現在は当たり前になっている「3点式シートベルト」は、実はボルボのエンジニアであるニルス・ボーリン氏が発明したものだ。それまでの2点式シートベルトよりも格段に安全性を高める技術として、1959年のボルボ車に世界で初めて搭載された。さらに「この恩恵を誰もが受けられるように」と特許を無償公開し、結果として世界で「100万人以上の人々の命が救われた」というのがその物語である。

この物語はボルボの強みを雄弁に語っている。例えば無償公開という点は、社会全体の安全を優先するボルボの企業姿勢をよく顕している。また世界初の安全技術を発明したことから、革新的な技術力と技術者を持つ企業であることが分かる。これが物語の力であり、この「企業の強みを象徴する物語」が「シンボリック・ストーリー」だ。

競争を抜け出す会社というのは、こういった物語を持ちうまく活用している。広報戦略に優れた企業としても評価されている近畿大学の「近大マグロ」、タニタの社員食堂などもシンボリック・ストーリーだ。これらは当然ながら、単なる「おもしろい物語」ではない。同時に戦略上の強みと合致した「正しい物語」だからこそ、結果としての競争優位につながっている。

このような物語が重要になっている背景には、2つの環境変化がある。ひとつは、「個人のメディア化」だ。おもしろい物語であれば、拡散され、蓄積され、何度でも再生される。物語力を持つ企業が、存在感を際立たせることができるようになったと言える。

もうひとつは、「ビジネスモデルの同質化」だ。企業の活動情報は、以前よりはるかに入手しやすくなった。これは他社を模倣しようとする側からは、有利である。市場の成熟化だけでなく、情報化もまたビジネスモデルの同質化を促す側面を持っている。だが、物語は他社から盗めない。物語を活用すれば、他社とビジネスモデルの絶対的な差がなくても、独自の強みを際立たせることができるわけだ。

あなたの会社の「地上の星」を探す3つの視点

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ではそのような物語を、どのように見つければ良いのか …

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