目指すは時価総額1兆円企業 日清食品HDの「株価連動型社食」誕生の理由
株価とメニューが連動し、業績が上がれば豪華、下がれば質素に変化する─。そんな日本初の社員食堂を3月末にオープンしたのが日清食品ホールディングスだ。ユニークな取り組みの背景には、高い目標を掲げる中期経営計画があった。
「戦略的社内広報」で社員が変わり、会社が変わる。
エンジニア派遣業を手がけ、全国に3000人以上の社員を擁するVSN。「社員の働きがい」向上に注力する方針を掲げており、人事や各事業部門と連携しながら社内外の広報活動を強化してきた。
首都圏で開催された有志によるバーベキュー大会。約300人もの社員が参加した。
企業からの需要が増加しているエンジニア派遣の業界。優秀な人材の確保と定着率の向上は重要な課題であり、全国に3000人以上の社員を擁するVSN(東京・港)も例外ではない。派遣業という特性上、社員は全国で各々異なる職場に勤務しており、会社への帰属意識が希薄になりがちという問題もある。
そんな同社は2011年に前・中期経営計画を発表し、「高いレベルの働きがいを実現する」というビジョンを打ち出した。さらに取引先の企業価値向上を実現する「バリューチェーン・イノベーター」という独自のサービスを導入し、社員それぞれが自身の仕事に対するマインドを変えていく必要があった。
「派遣先企業への技術の提供に留まらず、課題発見や提言、改善までを担うという従来の業界にはない仕組み。この新たな考え方や方針を徹底的に浸透させるために、まずは社内広報に注力する方針が固まりました」と説明するのは、経営イノベーション本部で広報を担当する荻原理央氏。広報体制の強化に伴い、2013年2月に入社した。
その象徴的な取り組みが、2011年に社内SNS「Chatter」を導入したこと。川崎健一郎社長をはじめ全社員がアカウントを持ち、月間のログイン率は96%以上にのぼる。チーム内で日報を共有したり、遠隔地で働く社員との打ち合わせや朝礼の代替手段としたりと、チーム活動に役立ててきた。
広報チームでは社内SNSをさらに活性化させようと、2012年に「ズームくん」という架空のキャラクターによる社員取材や職場レポートなどを発信する企画を開始。全国の社員を巻き込みながら「私の働きがい」「エリア別社員紹介」などのテーマで2014年には年間100件の投稿を実現した。
「広報チームのメンバーが地方に2週間、交代で滞在したことも。その間、派遣先の社員食堂に足を運んだり、プライベートで趣味を楽しむ社員の活動を紹介したりと、全国で取材を行い『ズームくん』発の投稿を増やしていきました」。
スタート当初は取材を拒否されることもあったが ...