今回から、青森県・田舎館村(いなかだて)で1993年に始まった「田んぼアート」の取り組みをもとに地域活性化のヒントを探ります。
2015年には12月に公開された映画『スター・ウォーズ』をモチーフとした田んぼアートで話題となった。
© & TM Lucasfilm Ltd.
はじめまして、青森県田舎館村 企画観光課長補佐の鈴木勝です。今回から5回にわたりこちらの連載を担当することになりました。突然ですが皆さん、田舎館村の「田んぼアート」をご存知でしょうか。田んぼにスター・ウォーズやサザエさんの絵を描く取り組みで、メディアなどを通じて目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
その歴史は「地方創生」という言葉が生まれるよりもずっと前、1993年までさかのぼります。今では年間来場者数約34万人、年間入館料収入約6200万円に達しており、村の名を観光地として全国に広める取り組みです。
田舎館村は青森県津軽平野の南部に位置し、面積が22.35平方キロメートルと県内で一番小さな村です。人口は約8000人で、昭和50年代の1万人超から年々減少を続け、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると約50年後の2060年には現在の半分以下である3733人になるという危機的状況が予測されています。
何もない村がどのように集客コンテンツをつくり上げ、話題化したのか。なぜ年間50件もメディアに取り上げられるようになったのか。「田んぼアート」を起点に、お話ししていきたいと思います。
歴史的大発見によるひらめき
1987年、田舎館村では村の活性化を目的としてJA、商工会などを中心とした「田舎館村むらおこし推進協議会」を設立しましたが、いくら予算をかけても人が集まらないという状況が続いていました …