新しいアイデアや事業は、社内のコミュニケーションの場から生まれることも少なくない。こうした作用を生み出すスペースを設けている企業のオフィス哲学とは?
社員間のコミュニケーションを活性化させるために、2フロアを大胆につないだ階段を設置。ちょっとした遊び心を演出する滑り台も設けており、これは社員向けのサプライズでもあった。ここを起点としたメディア露出が多い。
2015年12月に、創業以来7度目の本社オフィス移転を行ったエイチーム(名古屋市)。2012年4月に東証マザーズ、同年11月には東証一部へ上場し、その間233日という史上最短での市場変更を遂げたIT企業だ。
今回の移転も事業拡大にともなう人員増加と、別のフロアやビルの部署、グループ企業を集約することで、業務の連携と効率化を目指した。林 高生社長が重視したコンセプトは「社員への貢献」。移転前のアンケートで集めた社員の要望を反映させたため、新オフィスの構想は2年に及んだ。社長室を中心としたプロジェクトチームは、各部署から選抜。エリアごとの担当チームに分かれ、細かい箇所にもこだわりながら打ち合わせを重ねた。
「要望が多かった社員食堂は、地上約150メートルに位置する天空をイメージしたカフェのような空間。部署を越えたコミュニケーションの場としての利用も期待しました」と、社長室広報の尾崎美鈴氏。社員の健康面のサポートも目的としてメニューや栄養バランスにもこだわった。ミーティングルームは前オフィスよりもスペースを増やし、壁をホワイトボードに。書くスペースを充実させた点にも社員の声が活かされている。
2フロアを大胆につなぐ階段と滑り台は今回の新オフィスの目玉だ。社員の行き来をスムーズにすることによって、部署を越えたグループ間の連携や一体感を創出した。ジャングルジム、ハンモックやブランコのような椅子があるミーティングスペースなど、遊び心で導入された設備も好評だ。「移転前後では地元メディアの密着取材もあり、テレビや新聞など5媒体に取り上げられました」。
「ヒトがモノをつくる企業」を根底に置くエイチームは、社員を幸せにすることが企業としての成長につながると考える。サプライズに満ちた空間で働く社員たちは、サービスをさらに充実させ、社会へサプライズを送り出そうとモチベーションを高めている …