新しいアイデアや事業は、社内のコミュニケーションの場から生まれることも少なくない。こうした作用を生み出すスペースを設けている企業のオフィス哲学とは?
社内の数カ所にオフィスアートを展示。レンズ水槽に水が入ると風景が拡大して見えるという展示物には、アイウェアブランドらしく「レンズを通して、世界が変わる」という意味と、「社員の才能とチームを拡大する」という思いが込められている。
2011年に発売し、累計500万本を売り上げているパソコン用メガネ「JINS PC」などで知られるジェイアイエヌ。2015年7月末現在、国内に289店舗、海外は2カ国に展開しており、2014年7月に本社オフィスを移転した。
近年、事業の急成長とともに人員も増え、個々人が目指すベクトルを統一しようと社内向けにリブランディングの計画がスタートしたのは2013年夏のこと。新社屋への移転計画も同時進行でスピーディーに行われた。
プロジェクトは田中仁社長と各部署から選抜された8人のメンバー、社外パートナー企業により進められた。「このJINS Global Head Officeと名付けられた新オフィスは、とにかく社員の才能や感性がより発揮できるように、ということを念頭に設計されています」とマーケティング室広報・PRリーダーの池川志帆氏は語る。
これまで約500坪だった敷地面積は約1200坪にまで広くなり、社内の数カ所にアートを展示するなど、ゆったりとした空間が。
以前のオフィスと同様にフリーアドレス制も導入しており、社内の各所で同時多発的に部署やチームを越えたコラボレーションが見られるようになった。休憩やランチで使われるカフェスペースもあり、仕事中の気分転換にも絶好の場所。この場所で作業をする社員の姿も。移転後に実施された社内調査では、「リラックス」「社員同士のコミュニケーション」「接客スペースの快適さ」といった項目で、大幅な改善が認められた。
透明性の高い会社として象徴的なのは、社長室がガラス張りで、ドアが開いていれば社員はいつでも出入りできるということ。開放的な空間を設ける
一方で、セキュリティにも気を配る。扱う情報の機密レベルを5段階に分け、場所によって指紋認証機能などで入室制限を設けている …