新しいアイデアや事業は、社内のコミュニケーションの場から生まれることも少なくない。こうした作用を生み出すスペースを設けている企業のオフィス哲学とは?
各部署の部屋の区切りがなく、すべてのグループがひとつの空間を共有。4フロアを結ぶ「スキップフロア」は新しい研究棟の象徴。社員はここで顔を合わせ、議論をする機会が増えた。
かゆみ止め用外用剤「ムヒ」で知られる池田模範堂は、研究棟の老朽化に伴い、2014年に本社に隣接した敷地に新たな研究開発棟「MUHI SKIN RESEARCH CENTER」を建設した。本社は富山駅から約15キロメートル、立山連峰を望む富山県上市町にある。
「研究開発型の企業であり続けるために、このプロジェクトは3つのテーマを掲げて臨みました」と語るのは研究所長付特命担当の中村光延氏。「コミュニケーションを取りやすくすること」「想像力を最大限に発揮できること」「最新の研究ができること」だ。
特に「コミュニケーション」に関しては力を入れた。というのも、研究職の社員はときに実験室にこもりっきりになり、まったく人に会わず話もしないことすらある。「スキップフロア」や「パプリックラウンジ」を設け、人と情報が常に流れるよう意識した結果、社員たちからは「一体感が出た」という感想も聞かれるようになった。
部屋ごとに壁の色を変え、視覚を刺激しつつ心を落ち着かせる空間にした点も新しく、想像力を最大限に発揮させる効果がある。オフィスフロアでは小鳥のさえずりが流れ …
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