主要なPR会社の現場で奮闘する若手・中堅のPRパーソンに、現場の仕事や今後のPRのあり方について聞く。
国内外問わず、幅広くクライアントを持つ電通パブリックリレーションズ。今回“次代のPRパーソン”として登場するのは、同社ですでに世界的に高いブランド力を持つ企業から、専門的な知見が求められるBtoB企業まで幅広く手がける、第1ディレクション局の正司彩氏だ。
大学院時代は米国大手通信会社のAP通信やビデオジャーナリストのもとインターンシップに励みながら、ジャーナリズムの勉強をしていたという正司氏。「学生時代からPRイベントに出席する機会が多く、いつからか世の中の出来事を伝える側から、ニュースを生み出す仕事に興味を持つようになったのが、PR会社に入社しようと思ったきっかけです」。
しかし華々しいイメージのあったPR会社も、いざ入社するとメディアからメディアへと情報を持ちかけて歩く体力勝負の仕事が続いた。「どんなに大きなプランを描いていても、結局のところ最終的に大切なのは記者の視点に立って、そのPRが面白いと思えるかどうか。入社直後に、記者の皆さんに接する部署に配属された経験は結果的に自分のためになったと思います」。
PRパーソンとしての基礎固めを終え、次に受け持つことになったのが海外PRの業務だ。2012年の韓国・麗水万博では日本パビリオンのPRスタッフとして現地に4カ月間張り付いての業務を経験。その後は幼少期の海外生活で培った語学力を活かし、外資系企業の国内でのPRプロジェクトに携わるようになった。「特に外資系企業のPR担当者はPRと広告の違いを十分に理解したプロフェッショナルばかり。必ずしもメディア露出を効果指標として重視しない方が多い中で、お互いにアイデアを出しあいながらターゲットの心にはまるPRの形をつくり上げるのは面白味があります」。
国内から海外へのプロモーションも手掛けるという正司氏だが、ジェスチャーや言葉選びも含めたコミュニケーショントレーニングなど、海外のメディアを意識した取材対応をクライアントと二人三脚で行っている。「事前に文化や記者の興味関心をリサーチし、国によって異なるメディアの取材・報道姿勢に備えることが必要です。2020年に向けて、日本の企業も海外メディアや現地の企業と積極的にコミュニケーションをとるようになると予想できますので、今のうちから国外のメディア文化を理解しておくことが重要になってくるのではないでしょうか」。
これからは、日本と海外の橋渡しとなるようなPRパーソンを目指したいという正司氏だが、今の自分に必要なことは何よりも「勉強」と語る正司氏。「企画やプロジェクトづくりの上手い先輩は、プレゼンのデザインひとつとっても自主的に勉強しているんです。そんな姿を見て、私も会社の中に留まってはいけないのだと実感しています。もっと外に飛び出して自分の引き出しを増やしてこそ一流のPRパーソンに近づける気がします」。
企業DATA | |
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企業名 | 電通パブリックリレーションズ |
所在地 | 東京都中央区築地5丁目6番4号 浜離宮三井ビルディング |
代表者 | 近見竹彦 |
従業員 | 253人(2015年4月現在) |
沿革 | 1961年、設立。総合PR会社として、企業や団体のマーケティングプロモーションやイシュー/クライシスマネジメント、パブリックアフェアーズなど、その業務は多岐にわたる。 |
第1ディレクション局 グローバルアカウント部 コンサルタント2011年電通PR入社以来、外資系企業の日本市場参入におけるコミュニケーションの立案・実施などに携わる。2013年からはディレクション部で国内外クライアントのPR戦略立案を担当。
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